NY為替見通し=トランプ米政権のFRB議長解任に対するFRB高官の見解に要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、24日に開催予定の日米財務相会談での為替協議やトランプ米政権によるパウエルFRB議長解任への警戒感から下値を探る展開が予想される。

 ドル円のテクニカル分析では、昨年7月の高値161.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーを形成中であり、ネック・ライン(140.25円~139.58円~139.06円)を下抜けつつあることで、下値目処として、三角保ち合いの起点である127.23円付近までの下落の可能性が高まりつつある。

 ドル円が139-140円付近のネック・ラインを明確に割り込んだ場合は、過去最大規模の円買い持ちポジションを保有しているIMMシカゴ筋に象徴される投機筋の利食いのドル買い戻しや本邦機関投資家によるドル建て資産のヘッジ売りなど、売り買いが交錯する可能性には警戒しておきたい。

 本日は、複数の米連邦準備理事会(FRB)高官(ジェファーソンFRB副議長、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁)の講演が予定されており、パウエルFRB議長解任に対する反論に注目しておきたい。

 明日からのG20財務相・中央銀行総裁会議では、ベッセント米財務長官が植田日銀総裁に対して利上げを要請する可能性、24日に開催予定の日米財務相会談では、ベッセント米財務長官が加藤財務相に対して、ドル安・円高誘導を迫るのではないか、との警戒感が高まっている。

 また、ウォールストリートジャーナル紙は「トランプ大統領が景気後退の責任をパウエル大統領に押し付けるための布石を敷いている」と掲載している。
 パウエルFRB議長が関税スタグフレーションへの対応から、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げに踏み出した場合、トランプ米政権の圧力に屈した形になるため、FRBの独立性に対する懸念が高まるため、FRBにとって難しい舵取りが迫られることになる。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、142.25円(4/21高値)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、139.58円(2024/9/16安値)


(山下)
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