東京為替見通し=ドル円、トランプ関税やパウエルFRB議長議会証言で底堅い展開か

 11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.54%台まで上昇したことで一時152.61円まで上昇した。ユーロドルは、一時1.0381ドルまで上値を伸ばした。ユーロ円は、英独株価指数が連日で史上最高値を更新する中、リスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となり一時158.19円まで値を上げた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領による鉄鋼・アルミニウムへの25%の関税賦課やパウエルFRB議長の議会証言でのタカ派的な見解を受けて底堅い展開が予想される。
 ドル円の攻防の分岐点としては、200日移動平均線が控える152.75円になっている。

 トランプ米大統領が、昨日、米国に輸入される全ての鉄鋼・アルミニウムへの25%の関税賦課の大統領令に署名したことで、物価上昇圧力への警戒感からドル買い要因となっている。今後は、貿易相手国が米製品に課しているのと同率の関税が賦課される相互関税の詳細を見極めることになる。

 パウエルFRB議長の上院銀行委員会での議会証言では、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派的据え置きの時と同様の見解、すなわち、利下げを急ぐ必要はない、ことが再表明された。

 本日は、米1月消費者物価指数(CPI)を確認した後、パウエルFRB議長の米下院金融サービス委員会での議会証言を待つことになる。
 トランプ米大統領は、米国の通商政策面で公約の実現を打ち出しつつあるが、米連邦準備理事会(FRB)への利下げ圧力に関しては、パウエルFRB議長を屈服させることは困難だと思われる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、追加利下げ(-0.25%=4.00-25%)の時期は7月米連邦公開市場委員会(FOMC)のままであり、12月末時点を見据えても1回の利下げに留まっている。

 ドル円の上値を抑える要因としては、日銀による中立金利水準1.0%に向けた追加利上げ観測、トランプ米大統領による対日貿易赤字を削減したい意向などが挙げられる。

 ベッセント米財務長官は、日米首脳会談の前に、おそらく日本を念頭に置いた発言だと思われるが、貿易黒字国に対し為替レートや金利抑制がその要因となっている国もある、と述べていた。トランプ米政権による対日貿易赤字削減の具体策にも警戒しておきたい。


(山下)
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