東京為替見通し=ドル円、トランプ関税やパウエルFRB議長議会証言見据えて堅調推移か

 10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.45%台まで低下した局面では151.57円付近まで下押しした後、4.50%台まで上昇したことで152.07円付近まで持ち直した。ユーロドルは、今週予定されているパウエルFRB議長の議会証言や1月米消費者物価指数(CPI)などの重要イベントを前に狭い範囲内での推移にとどまった。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が建国記念の日の祝日で休場のため動きづらい展開が予想される中、トランプ関税やパウエルFRB議長の議会証言でのタカ派的な見解を見据えて底堅い展開が予想される。

 トランプ米大統領は、先ほど、米国に輸入される全ての鉄鋼・アルミニウムへの25%の関税を賦課する大統領令に署名した、と報じられた。そして、米国時間の11日か12日に相互関税を発表して、ほぼ即時発効させる、と述べていた。また、トランプ米大統領はこれまで、欧州連合(EU)の自動車輸入関税10%が米国の2.5%よりはるかに高いとして不満を抱いていたことで、相互関税での自動車の税率には要注目となる。
 トランプ関税は、米国の物価上昇要因となるため、ドル円は底堅く推移している。

 米国のピーターソン国際経済研究所によれば、トランプ関税のコストは米国内総生産(GDP)の1.8%となり、第1次トランプ米政権での米中貿易戦争でのコスト0.4%を大幅に上回るとのことである。第1次トランプ米政権では、国家安全保障上の理由で鉄鋼輸入に25%、アルミ輸入に10%の関税が導入されていた。

 今夜予定でされているパウエルFRB議長の米上院銀行委員会での金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言では、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派的な据え置きの正当性を主張すると予想されていることも、ドル円を底堅く推移させている。

 ドル円の上値を抑える要因としては、トランプ米大統領がパウエルFRB議長に対して利下げ圧力をかけていること、先週の日米首脳会談の後に対日貿易赤字を削減したい意向を示していたこと、そして、日銀の追加利上げ観測などが挙げられる。

 本日も、トランプ米大統領による突発的な発言に警戒しながらの相場展開となる。


(山下)
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