東京為替見通し=ドル円、米相互関税の内容を見極める展開か

 7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、1月米失業率が4.0%だったことで、152.42円まで上昇した後、米国株相場や日経平均先物の下落を背景にリスク回避の円買いで150.93円まで下落した、しかし、米相互関税による米インフレ再燃への警戒感から、151.85円付近まで値を戻した。ユーロドルは相互関税への警戒感から1.0409ドルから1.0306ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米政権による相互関税の内容を見極める展開が予想される。

 先週末に発表された米1月雇用統計を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、追加利下げ(4.00-25%)の時期は6月米連邦公開市場委員会(FOMC)から7月FOMCへ先送りされた。そして、年内の利下げはこの1回だけと見込まれている。

 今後は、トランプ米大統領による利下げ圧力に対してパウエルFRB議長がどこまで抵抗できるのかを見極めていくことになる。パウエルFRB議長は、11、12両日に行う半年に1度の議会証言で、1月FOMCでのタカ派金利据え置きスタンスの正当化を訴えると予想されている。

 トランプ米大統領は、今週、米国への輸入品に輸出国と同じ関税率を課す『相互関税』の導入計画を発表する予定、と報じられている。さらに、トランプ米大統領は「鉄鋼・アルミへの25%関税を発表。鉄鋼・アルミ関税はすべての国が対象」と述べている。
 世界貿易機関(WTO)のデータによると、米国の貿易加重平均関税率は約2.2%、中国は3.0%、メキシコは3.9%、カナダは3.4%、日本は1.9%となっている。
 この相互関税と、カナダとメキシコへの1カ月先送りにされている25%の輸入関税との関係性や自動車関税の税率などの不確実性を確認していくことになる。

 また、7日の日米首脳会談の前日に、ベッセント米財務長官が、貿易黒字国に対し為替レートや金利抑制がその要因となっている国もある、と発言していた。5日にはベッセント米財務長官と植田日銀総裁が電話会談をしていた。
 すなわち、日本の貿易黒字の要因として、低金利による円安、という米財務省の「為替報告書」で何度か言及されてきたフレーズであり、今後もベッセント米財務長官の発言には警戒しておきたい。
 トランプ米大統領は石破首相との会談後、対日貿易赤字を縮小させたいとし、実現しなければ関税も除外しないと警告していた。



(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。