東京為替見通し=ドル円、トランプ米政権の貿易戦争回避で軟調推移か

 20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、第2次トランプ米政権での関税引き上げの先送りを受けて155.42円まで下落した。ユーロドルは1.0434ドルまで上昇した。ユーロ円は英独株価指数が史上最高値を更新したことで162.31円まで上昇後、161.54円付近まで下押しした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領が就任演説や大統領令で関税発動を見送ったことを受けたドル全面安の流れが継続することが予想される。

 第2次トランプ米政権では、まず、中国、カナダ、メキシコに対する関税を発動して貿易戦争を仕掛ける前に貿易関係を検証し、今後数週間または数カ月の関税発動に向けた準備を進める可能性が示された。

 トランプ米大統領は、外国からの関税を徴収する新機関「外国歳入庁」を設立して、「他の国を豊かにするために米国民に課税するのではなく、米国民を豊かにするために外国に関税と税金を課す」と述べており、通商協議が不調に終わった場合は、関税を引き上げて貿易戦争に踏み切る可能性を残している。

 しかし、第2次トランプ米政権の通商政策が、警戒されていたような強硬路線ではなく、通商交渉による穏健路線となる可能性が示されたことで、23-24日の日銀金融政策決定会合では0.50%への追加利上げの可能性が高まっている。

 先週、氷見野日銀副総裁と植田日銀総裁は、23-24日の日銀金融政策決定会合について、トランプ次期米大統領の演説内容、政策などを見極めて、追加利上げを行うかどうか判断する、と述べていた。
 オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す日銀金融政策決定会合での0.25%の追加利上げ確率は80%台となっている。

 目先の第2次トランプ米政権にとっての懸念材料は、債務上限の引き上げ、あるいは効力の再停止に関する議会の判断となる。イエレン前米財務長官は、連邦債務の法定上限突破を回避するため、21日から会計上の特別措置を始めると発表し、債務上限の引き上げか一時停止を議会に要請していた。
 昨年末の「つなぎ予算」の協議の際に、共和党の保守強硬派が、トランプ次期米大統領の債務上限の引き上げ、停止要請を拒否していたことで警戒感が高まっている。



(山下)
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