東京為替見通し=ドル円、今夜の12月米雇用統計を控えて動きづらい展開か

 9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.64%台まで低下した局面で157.58円まで下落した後、同利回りが4.69%台まで戻したことで158.16円付近まで下げ渋った。ユーロドルは1.0319ドル付近から1.0291ドル付近まで下押しした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米12月雇用統計を控えて動きづらい展開が予想される。

 昨日発表された日本の11月の実質賃金は4カ月連続のマイナスだったものの、基本給に相当する所定内給与は32年ぶりの高い伸びとなった。また、日銀支店長会議での賃上げに関する報告では、全体としては継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種・規模の企業に浸透してきているものの、2025年の賃金設定に関して慎重な姿勢が示された。

 植田日銀総裁は、春闘に向けた賃上げのモメンタムを確認するために、「もうワンノッチ(1段階)情報を待ちたい」と述べていたが、「ワンノッチ」は満たされなかった。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す今月の日銀金融政策決定会合での追加利上げ確率は47%となっている。

 米12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+16.0万人と予想されており、11月の同比+22.7万人からの増加幅の減少が見込まれており、失業率は4.2%で11月と変わらずと予想されている。12月の米国の雇用関連市場は、ISM製造業、非製造業雇用指数、ADP全米雇用報告などは、11月に比べて悪化していたことで、市場予想は整合的だと思われる。

 12月の米雇用統計の数字が予想から大幅に外れていない限り、20日のトランプ次期米大統領の就任式に向けて、現在の米金利上昇やドル高基調には変化はないと思われる。しかし、米国の雇用統計に関する懸念材料としては、2月7日に公表予定の年次ベンチマーク改定の確定値が、昨夏の速報値(81万8000人の下方修正)からさらなる下方修正が警戒されていることが挙げられる。

 また、今後はパウエルFRB議長やウォラーFRB理事が言及している「市場ベースインフレ(Market-Based Gauge)」にも注視せざるを得ない状況となっている。このインフレ指標は昨年の5月からずっと前年同月比2.4%の上昇率付近でほぼ変わらないらしく、今年の追加利下げ継続を支持している。

 日米の金融政策に関する今月の日程は以下の通りとなる。
14日:氷見野日銀副総裁講演
20日:トランプ次期米大統領就任
23-24日:日銀金融政策決定会合(利上げ確率 47%)
28-29日:米連邦公開市場委員会(FOMC)(据え置き確率 93%)

 本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に関しては、過去の介入実施時間帯から、本日の金曜日のニューヨーク市場や来週月曜日の東京市場休場に警戒しておきたい。

(山下)
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