ロンドン為替見通し=日銀総裁会見後は緊張感漂う中で様子見か

 本日のロンドン為替市場では、独・仏などが休場のため市場参加者の減少が予想される中、序盤は植田日銀総裁の会見を眺めながら円相場中心の値動きとなりそうだ。

 日銀は昨日から今日にかけて開催した金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利を据え置いた。しかし、同時に発表された展望リポートでは、2025年のCPIやGDP見通しが1月時点より引き下げられた。直後の市場は円売りでの反応を示すと、ドル円やクロス円は上昇。他方、ユーロドルやポンドドルはドル買いの影響を受けて弱含んだ。

 まずは、15時30分から始まる植田総裁の定例会見に注目したい。声明では「わが国企業の収益なども下押しされるもとで成長ペースは鈍化」「(リスク要因)とくに各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡り不確実性」などが明らかとなるも、「経済・物価の見通し実現なら、引き続き金利引き上げ」「現在の実質金利、極めて低い水準にある」ともしている。トランプ関税を受けた景気・金利見通しについてどのような見解を示すか、利上げスタンスを維持するかなど、大いに気になるところだ。利上げ見通しが後ろ倒しになるとの印象が強まる会見となれば、ドル円主導で欧州通貨が振り回される展開もあるだろう。

 日銀総裁の会見を消化した後、欧州時間に予定されている経済イベントは英4月製造業購買担当者景気指数(PMI)くらいと少なめ。今回は改定値ということもあり、市場に与える影響は限られる見通し。また、主だった要人発言も予定されていないため、様子見ムードが漂うことも想定される。

 そうした中、関税関連の発言、特に米中の貿易摩擦を想起させる発言などが伝われば、市場は過敏に反応することが予想される点には注意が必要だろう。その場合、ドル主導で欧州通貨が上下させられることも考えられる。

 他方、NY市場では4月チャレンジャー人員削減数や新規失業保険申請件数など雇用関連をはじめ、4月ISM製造業景況指数といった重要指標の発表が相次ぐ。対円の視点では、日本時間2日未明から行うとされている日米関税交渉の行方も見逃せない。これらへの反応に備えておきたい。


想定レンジ上限
・ポンドドル:4月28日高値1.3444ドル
・ポンド円:4月25日高値191.73円

想定レンジ下限
・ポンドドル:4月23日安値1.3234ドル。
・ポンド円:21日移動平均線189.34円

(川畑)
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