東京為替見通し=ドル円、日銀による0.25%の利上げと植田日銀総裁の会見に要注目か

 23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、前週分の米新規失業保険申請件数が若干弱い内容となり、トランプ米大統領がダボス会議で「すぐに金利を下げるよう要請するつもりだ」と述べたことで155.75円まで下落した。ユーロドルは、トランプ米大統領が欧州との貿易関係に言及したことで1.0373ドルまで売られた後、利下げ要請発言を受けて1.0438ドルまで上昇。ユーロ円は162.20円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、ほぼ確実視されている日銀金融政策決定会合での0.25%の追加利上げを確認した後は、15時30分からの植田日銀総裁のターミナルレート(利上げの最終到達点)への言及などに注目することになる。

 日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁や氷見野日銀副総裁による利上げ示唆発言、そして複数の利上げ観測報道などから、追加利上げ(+0.25%⇒0.50%)はほぼ確実視されており、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す追加利上げ確率は95%前後に上昇している。

 利上げが見送られる可能性としては、本日通常国会が召集され、25年度予算案が提出されるため、予算案成立の前の利上げは避けられるのではないかとの見方、そして植田日銀総裁が言及していた賃上げ動向の全容が不透明であることなどが挙げられる。

 もし、予想外に利上げ見送りとなった場合、ドル円は157-158円台に向けて上昇することが予想されるため、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒しておきたい。
 21日には三村財務官が、為替のコミットメントは、第1次トランプ政権時のG7合意「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得る」が続いていると述べており、過度な変動と見なされる可能性には警戒しておきたい。

 予想通りに0.25%の利上げが決定されて0.50%に引き上げられた場合、植田日銀総裁の会見に注目することになる。植田日銀総裁は昨年7月31日の会見で、「前回の利上げ局面のピークである0.5%が壁になるとは認識していない」と述べ、中立金利の下限である1%を意識した見通しを示していた。

 また、トランプ米大統領は、関税などの貿易政策を「アメリカ第一の貿易政策」と題する大統領覚書に示し、関税を徴収する「外国歳入庁」の設立を表明し、関係閣僚に貿易赤字の原因究明、不公正な貿易慣行や為替操作の究明、既存の貿易協定の見直しなどを指示している。
 昨日は「金利の即時引き下げを要求する。パウエルFRB議長と適切な時期に話す」と述べており、今後は、貿易赤字増大の要因となるドル高を抑制する発言には引き続き警戒しておきたい。

(山下)
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