東京為替見通し=ドル円、植田日銀総裁の記者会見に要注目か

 18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、2月米住宅着工/建設許可件数や2月米輸入物価指数が予想を上回り、米長期金利の上昇とともに149.93円まで上昇した後、米国株相場が下落し、米長期金利が低下したことで、149.10円まで反落した。ユーロドルは、欧州市場で独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待から1.0955ドルまで上昇した後、NY市場では米住宅指標の上振れを受けて1.0893ドルまで反落した。その後、米長期金利の低下を受けて1.0952ドル近辺まで切り返した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合では現状の金融政策の維持が予想されており、植田日銀総裁の記者会見に注目することになる。

 日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁が「こういうご時世なので、海外の経済・物価動向を巡る不確実性については非常に心配している」と述べているように、金融政策の現状維持が見込まれている。

 15時30分からの植田日銀総裁の会見では、内憂としての石破降ろしリスクなどの政局不安、外患としてのトランプ関税などの不確実性が高いことを指摘した上で、今後も経済・物価が想定通りに推移していけば、徐々に利上げを進めていくという従来の方針を繰り返すことで、150円台の円安を回避するのではないだろうか。

 すなわち、春闘の第1回回答集計結果を受けて、「春闘では良い結果がみられており、見通し実現の確度はさらに高まっている」と述べ、コメ価格などの食料品価格の上昇基調に対して「物価には上振れリスクが少し高まっている」と述べれば、市場が見込んでいる6月、7月の会合での追加利上げが追認されることになる。

 もし、植田日銀総裁が内外の不確実性を理由に利上げ時期を先送りするようなハト派的見解を述べ、ドル円は150円台に乗せるような局面になれば、過去最大規模に膨れ上がったIMM通貨先物の投機部門の円のネットの買い持ちポジション(※3/11時点:133902枚)の手仕舞いを誘発する可能性が高まることで、リスクシナリオとして警戒しておきたい。

 トランプ米大統領は「あなたの国の通貨を切り下げ、弱体化させ続けてはならないと日本の指導者たちに電話で伝えた」と述べ、ベッセント米財務長官は「他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある」と、通貨安(※円安)を牽制している。

 そして、4月2日辺りに発動が見込まれている相互関税に関して、ベッセント米財務長官は「トランプ大統領が打ち出した相互関税は、貿易相手国の為替操作の有無を検証し、関税率に反映させる。米国は強いドル政策を取るが、それは他国が通貨安政策を取ることを意味しない」と述べ、「為替レート」が検証の対象となっていることを示唆していた。


(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。