東京為替見通し=クリスマス休場で閑散取引か、植田日銀総裁の講演には要注目

 昨日の海外市場でドル円は、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.6250%前後と5月30日以来の高水準を付けると円売り・ドル買いが先行し、一時157.38円付近まで値を上げた。ユーロドルの安値は1.0384ドル、高値は1.0410ドルで値幅は0.0026ドル程度だった。

 本日の東京時間のドル円は、日本と中国以外の市場がクリスマス休場となることで閑散取引になると思われる。ただし、昨年の25日同様に日本経済団体連合会審議員会(経団連)で植田日銀総裁が講演を行うことで、ここでサプライズ発言が出ないかを見ていく必要はあるだろう。

 今回の講演時間が何時から行われるかは不明だが、昨年は13時過ぎには講演内容が日銀のホームページに掲載された。内容自体は日銀金融政策決定会合の声明文や会見をほぼ踏襲するものであり市場の動意は限られた。質疑応答などもないことで、本日の講演内容でサプライズを期待するのは難しいかもしれないが、これまでも植田総裁は予想外の発言を繰り返してきたことで注意は怠らないようにしたい。

 植田総裁は先週の政策決定会合後の質疑応答で「オントラックにもかかわらず利上げをしなかったことで円安が進んでいることについての評価」を記者から質問されると、「輸入物価の対前年比でみると、割と落ち着いているという状況であることも考慮に入れた」と回答。また、ほかの記者から「10月末時点と比べても3円ほど円安に振れているように、円安が物価上振れをもたらすリスクというのは10月時点と比べて高まっている」ことへの見解についても、為替の影響が日本の物価やインフレ率に影響を与えていることは認識しているとしたが、現時点では「対前年比でみた輸入物価の上昇率が落ち着いている」と2度にわたって、現行水準の円安進行については許容範囲内と捉えられる発言を繰り返した。よって、このことが講演で否定されなければ、輸入物価が顕著に上昇過程を辿らない限りは円安を容認していると市場が受け取る可能性もあり、更なる円安リスクには備えておきたい。

 なお、昨年の12月25日の東京時間のドル円のレンジは42銭だった。日経平均株価が上昇して始まったことでつけた142.56円が高値。東京仲値の値決め前から上値は重くなり、日経の上げ幅縮小で午後に142.14円まで下がったが、その後は142.40円近辺で落ち着いた。


(松井)
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