週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、金利据え置きは織込み済み
◆ポンド、英中銀会合では金利の据え置きがほぼ織込み済み
◆ポンド、賃金の伸び低下を確認。金利発表前日の5月CPIに注目
◆加ドル、関税交渉を睨みつつ金融政策発表に伴ったドルや円の動きに左右
予想レンジ
ポンド円 192.00-197.00円
加ドル円 102.50-106.50円
6月16日週の展望
来週19日はイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表が予定されている。前回5月会合では政策金利を4.50%から4.25%への引き下げが決定された。ただ、票は5人が0.25%の利下げを支持、2人が0.50%の利下げを支持、2人が据え置きを支持と3通りに割れた。米関税の不確実性が経済・インフレ見通しの不透明感を高めていることがメンバーの票割れにつながっている。ベイリーBOE総裁は「全ての会合がライブ」との見解を示しているが、市場は来週の会合での金利据え置きをほぼ織り込んでいる。
政策金利発表前日の18日には、5月消費者物価指数(CPI)の発表も予定されている。結果が市場予想と大きく乖離すれば、BOEメンバーの政策判断に影響を与える可能性もある。5月会合後に発表された4月CPIは前年比3.5%と3月から予想以上に伸びが大幅加速し、BOEが注視するサービス物価も市場やBOEの予想を大きく上回った。5月もCPIの伸びが加速すれば、BOEが年内の利下げペースを落とすとの見方が一段と高まりそうだ。
ただ、今週発表された2-4月失業率は4.6%と前回の4.5%からやや上昇。平均賃金(除賞与)は前年比5.2%と7カ月ぶりの低水準となった。インフレの緩和を見込んでいるBOEが「賃金の伸びの鈍化」への確信を高めると8月にも利下げを再開する可能性はある。
カナダ国内では、5月住宅着工件数や4月小売売上高などの発表が予定されている。結果が加ドルの動意につながる可能性は低く、関税・貿易をめぐる米政府との協議を睨みつつ、来週に金融政策の結果公表を控えるドルや円相場に左右される動きが見込まれる。日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)では、ともに今回の会合で政策金利の据え置きが予想されており、今後の政策運営についてヒントが得られるかが注目されている。
なお、6日に発表された5月雇用統計では、雇用者数は減少予想に反して0.88万人増となった一方で、失業率は7.0%とコロナ禍の2020年と21年を除くと2016年9月以来の高水準を記録した。関税の影響を鑑みると、5月の雇用状況は底堅さを示したとの声も出ている。また、通商政策の不透明感を背景に販売が減少していた不動産市場に持ち直しの兆しが見え始めているとの見方もある。ただ、米関税の全体的な影響を判断するのは時期尚早で、経済データ次第ではカナダ中銀(BOC)が早い段階で利下げを再開する可能性がある。
6月9日週の回顧
米インフレデータが予想比下振れし、全般ドル売りが優勢。ポンドドルは英賃金の伸びが鈍化したことを受けて一時売りが入るも、ドル安を支えに2022年2月以来の高値水準となる1.36ドル台前半に切り返した。ドル/加ドルは小動きながら1.36加ドル割れまでドル売り・加ドル買いが優勢となった。
対円では米中貿易摩擦への懸念が和らいだことが支えとなるも、ドル円の下げが重しとなり、ポンド円は196円半ば、加ドル円は106円前半で上値が抑えられた。(了)
(執筆:6月13日、9:30)
◆ポンド、賃金の伸び低下を確認。金利発表前日の5月CPIに注目
◆加ドル、関税交渉を睨みつつ金融政策発表に伴ったドルや円の動きに左右
予想レンジ
ポンド円 192.00-197.00円
加ドル円 102.50-106.50円
6月16日週の展望
来週19日はイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表が予定されている。前回5月会合では政策金利を4.50%から4.25%への引き下げが決定された。ただ、票は5人が0.25%の利下げを支持、2人が0.50%の利下げを支持、2人が据え置きを支持と3通りに割れた。米関税の不確実性が経済・インフレ見通しの不透明感を高めていることがメンバーの票割れにつながっている。ベイリーBOE総裁は「全ての会合がライブ」との見解を示しているが、市場は来週の会合での金利据え置きをほぼ織り込んでいる。
政策金利発表前日の18日には、5月消費者物価指数(CPI)の発表も予定されている。結果が市場予想と大きく乖離すれば、BOEメンバーの政策判断に影響を与える可能性もある。5月会合後に発表された4月CPIは前年比3.5%と3月から予想以上に伸びが大幅加速し、BOEが注視するサービス物価も市場やBOEの予想を大きく上回った。5月もCPIの伸びが加速すれば、BOEが年内の利下げペースを落とすとの見方が一段と高まりそうだ。
ただ、今週発表された2-4月失業率は4.6%と前回の4.5%からやや上昇。平均賃金(除賞与)は前年比5.2%と7カ月ぶりの低水準となった。インフレの緩和を見込んでいるBOEが「賃金の伸びの鈍化」への確信を高めると8月にも利下げを再開する可能性はある。
カナダ国内では、5月住宅着工件数や4月小売売上高などの発表が予定されている。結果が加ドルの動意につながる可能性は低く、関税・貿易をめぐる米政府との協議を睨みつつ、来週に金融政策の結果公表を控えるドルや円相場に左右される動きが見込まれる。日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)では、ともに今回の会合で政策金利の据え置きが予想されており、今後の政策運営についてヒントが得られるかが注目されている。
なお、6日に発表された5月雇用統計では、雇用者数は減少予想に反して0.88万人増となった一方で、失業率は7.0%とコロナ禍の2020年と21年を除くと2016年9月以来の高水準を記録した。関税の影響を鑑みると、5月の雇用状況は底堅さを示したとの声も出ている。また、通商政策の不透明感を背景に販売が減少していた不動産市場に持ち直しの兆しが見え始めているとの見方もある。ただ、米関税の全体的な影響を判断するのは時期尚早で、経済データ次第ではカナダ中銀(BOC)が早い段階で利下げを再開する可能性がある。
6月9日週の回顧
米インフレデータが予想比下振れし、全般ドル売りが優勢。ポンドドルは英賃金の伸びが鈍化したことを受けて一時売りが入るも、ドル安を支えに2022年2月以来の高値水準となる1.36ドル台前半に切り返した。ドル/加ドルは小動きながら1.36加ドル割れまでドル売り・加ドル買いが優勢となった。
対円では米中貿易摩擦への懸念が和らいだことが支えとなるも、ドル円の下げが重しとなり、ポンド円は196円半ば、加ドル円は106円前半で上値が抑えられた。(了)
(執筆:6月13日、9:30)