株式明日の戦略-強い基調に変化なし、ECB理事会を波乱なく通過できるか

 21日の日経平均は6日続伸。終値は122円高の27803円。米国株は上昇したが、東京市場では上昇要因の一部を先取りしていたこともあり、下落して始まった。開始直後に一瞬プラス圏に浮上したものの、前場はマイナス圏で不安定な動きが続いた。ただ、下げ幅を3桁に広げたところでは買いが入るなど、下値の堅さは伺えた。昼休みに入って日銀が大規模緩和のスタンスを維持すると発表。展望リポートでは、2022年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の見通しが2.3%に引き上げられた。後場はイベント通過の安心感から上昇して始まると、一度もマイナス圏に沈むことなく、じわじわと上げ幅を拡大。27800円台に到達して高値引けとなった。中小型のグロース株の動きが良く、グロースコア指数やマザーズ指数が大幅高となった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆5000億円。業種別では水産・農林、海運、精密機器などが上昇した一方、鉄鋼、電気・ガス、空運などが下落した。大幅な上方修正を発表したスポーツフィールド<7080.T>が、場中は値が付かずストップ高比例配分。半面、東京海上ホールディングス<8766.T>は1:3の株式分割を発表して上昇スタートとなったものの、買いが続かず下落で終えた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1312/値下がり441。商船三井や川崎汽船など海運株が主力株の中では強めの上昇。ファナック、ダイキンなど値がさ株の動きも良かった。三井松島が買いを集めて年初来高値を更新。証券会社のカバレッジが入ったバイク王が大幅高となった。上方修正と増配を発表したインフォマートやフィックスターズが急伸。第一商品が暗号資産に関するリリースを材料にストップ高まで買われる場面があるなど人気化した。

 一方、コロナ治療の飲み薬に関して、国内承認が見送りとなった塩野義製薬が6.8%安。証券会社のリポートを材料に日本製鉄、JFEHD、神戸鋼の鉄鋼大手3社がそろって大幅安となった。1Q決算が市場の期待に届かなかった日本電産が2%近い下落。前日大幅高となった東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体株が反動売りに押された。直近で騰勢を強めていた三ツ星が上を試した後に失速して19.3%安と大きく値を崩した。

 日経平均は6日続伸。高値引けというおまけもついた。前場も下げてはいたが東証プライムでは値上がり銘柄が多く、さほど弱い雰囲気はなかった。日銀も大方の予想通りではあったが金融政策の現状維持を決めており、後場に地合いが好転したのも違和感のない動きである。

 本日、欧州ではECB理事会が開催される。ECBは今回の会合で利上げを実施することを事前にアナウンスしているが、大幅な利上げとなるのかどうかや、欧州株や米国株がどういった反応を見せるかといった点は、大きな注目を集める。来週にはFOMCが控えており、ECBがタカ派色を強めた場合に、これが引き金となって一気にリスク回避ムードが強まる可能性はある。逆に言えば、ここで神経質な反応が出てこなければ、欧米の金融引き締めは織り込みが進んでいるとの見方から、米国株の戻りに勢いがつく展開も想定される。

 引け後に海運大手3社がそろって業績の上方修正を発表した。仮にグロース株が息切れしたとしても、海運株が資金の受け皿となりそうだ。グロース株の上昇が継続した場合には人気どころの銘柄がそろって買われることになるだろう。今の日本株には流れが来ているように見えるだけに、こういった局面で一気に28000円やその上を試しに行く動きが見られるかに注目したい。
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