ロンドン為替見通し=台湾を巡る米中関係への思惑で上下、伊長期債にも注目

 本日のロンドン為替市場では、台湾を巡り米中対立の懸念が高まるなか、市場のリスクセンチメント動向を見定めながらの取引となりそうだ。東京午前に一部メディアが報じたところによれば、米国のペロシ下院議長の台湾到着は日本時間23時過ぎとなるもよう。

 米下院議長は副大統領に次ぐ大統領継承順位であり、要人の台湾訪問について当然ながら中国は嫌悪感をかなり強めている。中国外務省は昨日「必ず断固として強力な報復措置をとる」と強い言葉で反発。東アジアの地政学リスクが急速に拡大している。

 もっとも中国人民解放軍は直ぐに強硬策を取れるわけではないだろう。東欧ではロシア軍が、米軍を中心とする西側諸国の支援を受けたウクライナ軍に苦戦。地理的な違いはあるのものの、中国側もロシア側の被害を台湾進攻時の自らに置き換えて考えていると思われ、そう安易には行動に移れないか。

 また米国側としても、中国への圧力はかけたいが「関係の悪化も望まない」ということであれば、ペロシ氏は「形だけの台湾訪問」に終わる可能性もありそうだ。例えば空港から外にでずに超短時間の滞在、または新型コロナを理由に人に近づかないなどだ。

 いずれにせよ、台湾を巡る米中関係への思惑で相場は右往左往することになるだろう。

 その他、昨日大きく買われたイタリア長期債にも注目したい。伊10年債利回りは約2カ月ぶりの水準まで低下した。伊次期首相の有力候補である極右政党「イタリアの同胞」の党首が先週末、欧州連合(EU)の予算規則に従うと述べたことが好感されているもよう。

 欧州金融引き締めやドラギ伊首相の辞任で不安定となった伊金融市場が落ち着くようであれば、通貨ユーロにとってはポジティブ要因となる。

想定レンジ上限
・ユーロドルはピボットターニングポイント1.0360ドル、ユーロ円が本日高値135.23円。

想定レンジ下限
・ユーロドルは昨日安値1.0205ドル、ユーロ円が5月13日安値133.12円。


(小針)
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