株式明日の戦略―28000円の節目を明確に突破、来週は米CPIに注目も堅調相場が継続か

 5日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は243円高の28175円。米国株はまちまちで、寄り付きは小幅な下落。序盤はしばらく小動きが続いた。しかし、節目の28000円を上回ったところで買いに勢いがつき、上げ幅を200円超に拡大。前場で28100円台に乗せた後は買いが一巡し、以降は上昇ペースが鈍った。しかし、28000円を明確に超えてきたことで、戻り売りは手控えられた。後場に入ると動きが落ち着き、高値圏でのもみ合いが継続。6月9日以来、約2カ月ぶりに終値で28000円を上回った。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆8700億円。業種別では鉄鋼、その他製品、食料品などが上昇した一方、石油・石炭、鉱業、銀行などが下落した。1Qの大幅最終増益が好感されたスクウェア・エニックス・ホールディングス<9684.T>が急騰。反面、上期が前年同期比で売上高は微増にとどまり営業赤字は拡大したBASE<4477.T>が急落。新興銘柄の主力どころには大きく売られたものも多く、グロースコア指数やマザーズ指数は下落した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1359/値下がり418。トヨタ、ソニーグループ、ファーストリテイリングなど、主力ど真ん中銘柄が堅調。任天堂が3%超の上昇と動きの良さが目立った。アドバンテストや東京エレクトロンなど半導体株も強い上昇。決算発表銘柄では、1Q大幅増益の日本製鉄が商いを伴って急伸したほか、HOYA、丸紅、SUMCOなどが大幅高となった。今期は営業黒字に復帰する見込みとなり、復配計画も発表した大阪チタニウムはストップ高となった。

 一方、メルカリが4%を超える下落。ENECHANGEやメドレー、JTOWERなど新興グロースの人気どころの銘柄が軟調となった。ウネリーやエアークローゼットなど直近IPO銘柄は週末を前に手じまい売りに押されるものが多かった。1Qが減益着地となったシスメックスが11%を超える下落。三菱重工、大成建設、不二製油などが決算を受けて大幅安となった。3Q決算が失望を誘ったBEENOSはストップ安となった。

 本日、東証グロースに新規上場したクラシコムは公開価格を上回って始まり、終値も初値を上回った。

 4日の米国株市場では、7月雇用統計の発表を控えて主要3指数がまちまちとなったが、ナスダックがプラスで終えた。これまで何度も雇用統計で米国の引き締め強化が意識されたことを考えると、最も警戒売りに押されそうなのはナスダックであった。この動きからは、来週はグロースかバリューかではなく、グロース優位の流れが継続する可能性が高い。グロースの中で、目先はどこが強くなりそうかということを見定める週になるとみる。

 その上でカギとなるのが、グロースの主力どころである東京エレクトロンとソフトバンクG。どちらも月曜8日に決算を発表予定。半導体関連では、先んじて決算を発表した信越化学やアドバンテストの決算反応が非常に良かった。東京エレクトロンがこれに続けば、半導体関連の深掘りが進みやすい。ソフトバンクGは今1Qの決算が良いイメージはないが、一つ前の本決算発表直後の反応は強かった。前期は大幅減益着地であったが、悪材料出尽くし感が強まった。東京エレクトロンもソフトバンクGも強かった場合には、グロース祭りのような相場が到来する展開も期待できる。


【来週の見通し】
 堅調か。10日の米7月消費者物価指数(CPI)が要注目の指標となるが、東京市場は11日が山の日で休場。仮にCPIを受けた米国株の反応が弱かったとしても、ネガティブな影響は緩和されると思われる。国内は引き続き決算発表が多く、外部環境が多少悪化したとしても、決算内容の良いものには買いが入るだろう。米国株は前月に強い6月CPIを冷静に消化している上に、足元の基調も強い。米国の長期金利は低下基調にあり、今回のCPIも7月同様に波乱なく通過できる可能性も高い。米国株が調整したとしても、日本株は耐性を示すと予想。米国株の強い動きが続いた場合には、大きく水準を切り上げる展開もあるとみる。
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