株式明日の戦略-続伸も週間では下落、来週は日米の経済指標に一喜一憂か

 26日の日経平均は続伸。終値は162円高の28641円。米国株の大幅高を好感して、寄り付きから3桁の上昇。前場ではグロース株主導で上を試す流れとなり、300円超上昇する場面もあった。ただ、28800円手前で上値が重くなると、後場はじわじわと値を消す展開。今週はジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長講演を警戒して売られることが多かったため、高い位置を保てなかった。前場の貯金が大きく3桁高の状態は維持されたが、場中に上げた分は消失し、寄り付き近辺の水準で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆0500億円。業種別では繊維、機械、非鉄金属などが上昇した一方、石油・石炭、サービス、鉱業などが下落した。配当政策を見直して大幅な増配を発表したアルテック<9972.T>が急騰。半面、原発部品関連として今週動意づいた岡野バルブ製造<6492.T>が、上昇スタートから5%を超える下落と乱高下した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり864/値下がり867と、後場に入って値下がりが値上がりを上回った。東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体株が強めの上昇。ソニーGには「PS5」の値上げを好感した買いが入った。メルカリが全市場の売買代金トップ10入りして3%高。OATアグリオや日本農薬など農薬関連が人気化した。証券会社のリポートを材料に東レやホシザキが大幅上昇。兼松エレクトロニクスとの業務・資本提携を発表したテリロジーが急騰した。

 一方、リクルートやダブルスコープが軟調。原油安を受けてINPEXやコスモエネルギーが売りに押された。子会社の不正観測が報じられた島津製作所が連日の大幅安。しまむら、ウエルシア、ワークマンなど小売株には下落銘柄が多かった。立会外分売の発表が嫌気されたサカイ引越センターが7%を超える下落。上期が大幅な営業減益となったタカショーが9%を超える下落となった。

 週間では、日経平均が1.0%安、TOPIXが0.7%安、マザーズ指数が0.6%安と、マザーズ指数が相対的に値を保った。今週、本当の意味で米国の金融引き締めが警戒されていたのであれば、マザーズ指数はもっと下げていたであろう。米国の10年債利回りは3%を超えており、新興グロースをたたき売る要素はあった。ここから9月FOMC(9/20~21)までは、全体の不安定な値動きが続きそう。中小型のグロース株が金利の上昇に耐性を示すのであれば、大型株の買いづらさが意識される中で新興優位の様相が強まる可能性がある。

【来週の見通し】
 一進一退か。月末月初で経済指標の発表が多い。国内では7月鉱工業生産(8/31)や4-6月期法人企業統計(9/1)の注目度が高い。米国では8月消費者信頼感指数(8/30)や8月ISM製造業景気指数(9/1)があるが、最大の注目は8月雇用統計(9/2)で、これより前に出てくる指標に一喜一憂しながらも、週末に向けては様子見姿勢が強まるとみる。決算など個別の材料には乏しく、物色は短期志向が強まるだろう。指数主導で日々の振れ幅は大きくなっても、週ベースでは水準は大きく変化しないと予想する。
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