ロンドン為替見通し=レーンECB専務理事講演と天然ガス価格動向に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、天然ガス価格動向に注視しながら、9月の欧州中央銀行(ECB)理事会での0.75%利上げ観測へのレーン欧州中央銀行(ECB)専務理事の見解に注目する展開が予想される。

 ロシア国営ガス会社ガスプロムが、欧州向け天然ガス・パイプライン「ノルドストリーム1」を8月31日から9月2日まで一時停止にすると発表したことで、欧州の天然ガス価格が高騰している。欧州の天然ガス価格は現在、過去5年平均に比べ12倍と極めて高い水準にあり、原油価格に換算すると1バレル=500ドルを超え、実際の原油価格の5倍程度まで高騰している。9月2日以降に、ロシアからの天然ガス供給が再開される可能性も不透明であることで、天然ガス価格の上昇、欧州のインフレ高進、そして景気減速への警戒感が高まることになる。

 先週末、「複数のECB当局者は来月8日の定例理事会で、通常の3倍に当たる0.75%の利上げについて議論したい意向」との観測報道が伝えられたことで、本日のレーンECB専務理事の講演に要注目か。
 タカ派のホルツマン・オーストリア中銀総裁やクノット・オランダ中銀総裁は、9月理事会での0.75%の利上げを支持している。
 また、シュナーベルECB専務理事は「われわれがリセッションに突入するとしても、政策正常化を続ける以外の選択肢は乏しい。予想物価の安定化に失敗すれば、経済に及ぼす悪影響はもっと大きくなってしまう」と警告している。
 レーンECB専務理事は「インフレに予想外の動きがあれば、9月の政策対応に反映されるだろう」と述べており、天然ガス価格の高騰が予想外の動きとなるのかもしれない。

想定レンジ上限
・ユーロドルの上値目処(めど)は、一目・転換線の1.0052ドル、ユーロ円は一目・雲の下限の138.70円。

想定レンジ下限
・ユーロドルの下値目処(めど)は、2002年12月2日の安値の0.9863ドル、ユーロ円は一目・転換線=基準線の136.74円。

(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。