ニューヨーク外国為替市場概況・21日 ユーロドル、続落

 21日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続落。終値は0.9837ドルと前営業日NY終値(0.9971ドル)と比べて0.0134ドル程度のユーロ安水準だった。「プーチン露大統領は軍の部分動員令に署名した」と伝わると、ウクライナ情勢の一段の悪化が懸念されて、経済・地理的に影響の大きい欧州通貨に売りが先行した。
 注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)では3会合連続となる0.75%の大幅利上げが実施され、同時に公表された政策金利見通し(ドット・チャート)は2022年末で4.4%、23年末で4.6%と前回6月時点(22年末3.4%、23年末3.8%)から大幅に引き上げられた。市場では「ドット・チャートでは予想より高いターミナルレート(利上げの最終地点)と24年まで利下げが想定されていないことが示された。想定以上にタカ派的な内容だった」との声が聞かれ、米10年債利回りが一時3.6243%前後と11年2月以来の高水準を記録。全般ドル買いが優勢となり、一時0.9814ドルと02年10月以来約20年ぶりの安値を更新した。
 なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が定例記者会見で「今後の利上げペースは経済データ次第」「いつか利上げペースを落とすのが適切になるだろう」などと発言すると、米10年債利回りが3.49%台まで低下。ユーロドルにも買い戻しが入り0.9910ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは限定的だった。

 ドル円は3日続伸。終値は144.06円と前営業日NY終値(143.75円)と比べて31銭程度のドル高水準だった。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りが急伸し、4%を突破すると全般ドル買いが先行。FOMCが0.75%の利上げを決め、インフレ抑制に向け今後も大幅利上げを継続する方針を示すとドル買いが加速した。3時過ぎには一時144.70円まで上値を伸ばした。
 ただ、7日に付けた約24年ぶりの高値144.99円には届かなかった。パウエルFRB議長の会見を受けて米長期金利が低下に転じると、全般ドル買いの勢いが後退し、ドル円も143.41円付近まで下押しした。
 主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時111.58と02年6月以来の高値を付けたあと110.61付近まで上げ幅を縮めた。

 ユーロ円は続落。終値は141.79円と前営業日NY終値(143.34円)と比べて1円55銭程度のユーロ安水準。欧州市場ではウクライナ情勢激化への懸念からリスク回避の売りが優勢となった。NY市場に入るとユーロドルの下落につれた売りが出て一時141.64円と日通し安値を更新した。FRBが今後も大幅利上げを継続する方針を示したことで、ダウ平均が520ドル超急落したことも相場の重しとなった。

本日の参考レンジ
ドル円:143.35円 - 144.70円
ユーロドル:0.9814ドル - 0.9977ドル
ユーロ円:141.64円 - 143.60円

(中村)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。