欧州マーケットダイジェスト・11日 株安・金利低下・ポンド高・ドル失速

(11日終値:12日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=145.65円(11日15時時点比▲0.13円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=142.04円(△0.84円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9752ドル(△0.0067ドル)
FTSE100種総合株価指数:6885.23(前営業日比▲74.08)
ドイツ株式指数(DAX):12220.25(▲52.69)
10年物英国債利回り:4.443%(▲0.029%)
10年物独国債利回り:2.298%(▲0.044%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>   <前回発表値>
9月英雇用統計
失業率                3.9%       3.9%
失業保険申請件数          2.55万件    0.11万件・改
6-8月英失業率(ILO方式)       3.5%       3.6%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ポンドは全面高。英中銀(BOE)はこの日、緊急措置として導入した一時的な超長期の国債買い入れに加えて、物価連動国債も買い入れ対象に加えると発表。英国債相場の下落(金利は上昇)が一服したことを手掛かりに全般ポンドを買い戻す動きが広がった。ポンドドルは前日から上値を抑えられていた1.1110ドル台を超えると、ショートカバーが一気に強まり一時1.1180ドルまで上値を伸ばした。また、ユーロに対しては0.8726ポンド、円に対しては162.67円まで上昇した。

・ユーロドルは上昇。欧州株相場や時間外のダウ先物の下落を背景にリスク・オフのドル買いが入ったため、しばらくは上値の重い展開が続いた。
 ただ、NYの取引時間帯に入ると底堅く推移した。米ニューヨーク連銀が発表した9月の消費者期待調査では、1年先のインフレ期待が5.4%と前回の5.7%から低下し、1年ぶりの低水準を記録。一時は4%台まで上昇した米10年債利回りが3.86%台まで低下すると、全般ドル売りが優勢となった。安く始まった米国株が持ち直したこともリスク・オフの巻き戻しによるドル売りを誘った。前日の高値0.9753ドルを上抜けて一時0.9775ドルまで上値を伸ばした。

・ドル円は頭が重い。欧米株価の下落に伴うリスク・オフのドル買いが優勢となり、一時145.79円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値145.86円が目先レジスタンスとして働くと伸び悩んだ。9月22日に付けた年初来高値145.90円もレジスタンスとして意識された。
 米NY連銀が発表した1年先のインフレ期待が1年ぶりの低水準を付けたことが分かると、米長期金利の低下にとともにドル売りが活発化。欧州序盤に付けた145.50円を下抜けて一時145.43円まで値を下げた。

・オセアニア通貨は堅調。一時は120ドル超下落したダウ平均が持ち直し、400ドル超上昇するとリスクセンチメントに敏感なオセアニア通貨に買い戻しが入った。豪ドル米ドルは0.6346米ドル、NZドル米ドルは0.5657米ドルまで値を上げたほか、豪ドル円は92.33円、NZドル円は82.29円と日通し高値を更新した。

・ユーロ円は底堅い。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、しばらくは方向感が出なかったが、米国株の持ち直しをきっかけに円売り・ユーロ買いが強まった。前日の高値141.81円を上抜けて142.20円まで値を上げた。

・ロンドン株式相場は5日続落。インフレの長期化で主要中銀が積極的な金融引き締めを当面継続するとの見方が強まる中、景気への懸念から株売りが優勢となった。HSBCやバークレイズなど金融株の下げが目立ったほか、BPやシェルなどエネルギー株に売りが集まった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株も軟調だった。

・フランクフルト株式相場は5日続落。世界的な金融引き締め継続による景気懸念やウクライナ情勢激化への懸念から、株式への売りが膨らんだ。ただ、安く始まった米国株が上げに転じると独株にも買いが波及したため、引けにかけては下げ幅を縮めた。個別ではブレンターク(8.74%安)やBASF(3.99%安)、コベストロ(3.52%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は上昇。欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ観測を背景に独国債には売りが先行したものの、終盤持ち直した。一方、伊国債は下落した。欧州連合(EU)による共同債発行への支持について独政府関係者が否定したことを受けた。

(中村)
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