週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、RBAの見解に注目

◆7-9月期CPIが32年ぶりの水準まで高進、前回ハト派へ変換したRBAの見解に注目
◆豪ドル、ZARともFOMCの結果次第で動意も
◆ZAR、労組のストライキや電力不足は重しに

予想レンジ
豪ドル円 93.00-99.00円
南ア・ランド円 7.90-8.30円

10月31日週の展望
 豪ドルは堅調推移か。26日に発表された7-9月期の豪消費者物価指数(CPI)は前年比で4-6月期の+6.1%、市場予想の+7.0%などを上振れ+7.3%となり、32年ぶりの高水準となった。また、コア・インフレ率であるトリム平均も、前年比で+6.1%と予想を上回った。この結果後にチャーマーズ豪財務相は「インフレ見通しが著しく低下するとは思っていない」「年末のインフレ率は、現状の水準で高止まる見通し」と述べ、インフレへの警戒感を緩めていない。

 インフレ高進の中で来週注目されるのが、11月1日に予定されている豪準備銀行(RBA)理事会。前回の理事会で市場予想より低い0.25%の利上げ幅にとどめただけでなく、利上げの継続についても声明文で、「今後数カ月」から「今後一定期間」に変更され、ハト派寄りと捉えられた。この声明文を受けて、豪大手銀行の一行は、ターミナルレートを今年12月に3.10%の予想にしたほど、市場は一時的にRBAの利上げ停止予想が高まった。しかしながら、兼ねてからRBAは見解を頻繁に変更することが多い。インフレ高進でRBAの見解が変わる可能性が高まっている。現時点では、0.25%の利上げ予想が優勢になっているが、仮に予想通りの結果となった場合でも、声明文が再びタカ派に戻る可能性もありそうだ。

 なお、31日には9月小売売上高、11月2日に9月住宅建設許可件数、11月3日に9月貿易収支が発表される。どの指標も大きく豪ドルが反応するのは難しいだろうが、7-9月期のCPI上昇の一因が、新築住宅の上昇だったことを考えると、住宅建設許可件数の結果が今後の他指標へ与える影響は大きそうだ。

 国外要因でもRBA理事会翌日の11月2日に、米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を発表する。市場では0.75%の利上げが優勢だが、12月には利上げ幅が縮まるのではないかという見方が強まってきている。米金利の動向で、株式市場が大きく左右されることになれば、リスクオン・オフの動きに敏感に反応する豪ドルにも影響が強まるだろう。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は、対円ではもみ合い、対ドルでは上値が重いか。来週は31日に南アの貿易収支が発表されるが、ZARも自国経済指標よりもFOMCの結果次第で上下することになりそうだ。今週も対ドルでは一時年初来安値に迫る勢いを見せたが、米金利が低下すると18ZAR割れまでZAR買いが進んだ。引き続き荒い値動きが予想される。なお、国内では労組のストライキ本格化や電力不足が依然として重しになりそうだ。

10月24日週の回顧
 豪ドルは堅調に推移。7-9月期のCPIが市場予想を上回ったことや、同期輸入物価指数も予想比上振れとなったことが豪ドル買いに。また、株式市場の下げが一服したことも支えになった。ZARは対円ではほぼ横ばい、対ドルでは週初は弱含んだが、週後半は米金利低下で買い戻しが入るなど方向感のない動きになった。(了)
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