東京為替見通し=日銀、「物価見通しの上方修正」(観測記事)を肯定か否定か?

 3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、アジア市場の安値129.52円から131.19円付近まで上昇した。ユーロドルは欧州時間の安値1.0520ドルから1.0597ドル付近まで下げ幅を縮小する場面があった。

 本日の東京外国為替市場では、先週末の日経報道「日銀は1月17-18日の金融政策決定会合で、物価見通しの上方修正を検討」を受けた昨日のアジア市場のような円買い圧力が再燃するのか、それとも欧米市場のようなドル買いの地合いが継続するのかを見極めることになる。

 ドル円は昨日、アジア市場での流動性がほとんどない中で、米系短期筋による売り仕掛けで、131.40円の高値から129.52円まで急落し、昨年6月2日の安値129.51円に迫った。しかし、欧米市場では131.19円前後まで買い戻されており、「往って来い」相場となった。

 本日は、日銀関係者が「物価見通しの上方修正」記事を肯定した場合、あるいは、否定しなかった場合は、BOJピボット(日銀の金融政策正常化への方向転換)が現実味を帯びるため、円買い圧力が高まることになる。
 一方で記事が否定された場合は、ドル円の買い戻しが継続することで、関連ヘッドラインに要警戒となる。

 黒田日銀総裁の任期は4月8日までだが、両副総裁の任期は3月19日までのため、現体制の下での日銀金融政策決定会合は、今月17-18日と3月9-10日の2回となる。

 黒田総裁は、昨年12月19-20日の日銀金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)政策における10年国債金利の誘導水準を0%程度に維持しつつ、変動許容幅を従来の上下0.25%程度から上下0.5%程度に拡大した。これは、新体制の下での出口戦略への一歩を踏み出したと見られている。
 今月17-18日の決定会合では、物価見通しの上方修正を検討することで二歩目を踏み出して、新体制へのバトンタッチをスムーズにする目論見なのかもしれない。

 一部報道によると、黒田日銀総裁は両副総裁が退任する3月19日に合わせて、早期辞任するのではないか、との噂もあり、今月中に発表されるらしい次期日銀総裁人事と合わせて関連ヘッドラインには警戒しておきたい。

 ドル円のテクニカル分析では、2022年10月21日の高値151.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーが、昨日のネック・ライン(130.41円~130.58円)の下抜けにより、瞬間的に完成していた。しかし、現状はネック・ラインを上回って推移しており、流動性のないアジア市場でのダマシだった可能性も残されている。
 もしヘッド・アンド・ショルダーが完成した場合は、ヘッド(151.95円)からネック・ライン(130.58円)までの値幅(21.37円)の下落となる目標値109.21円が点灯する。すなわち、日米金融政策面での、FEDピボット(FRBの利下げ転換)とBOJピボット(日銀の利上げ転換)への警戒感を高めることになる。



(山下)
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