東京為替見通し=ドル円は1月実質賃金、豪ドルはRBAの声明に要注目か

 6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、136.19円から135.64円付近まで下押しした後、米10年債利回りの3.98%台への上昇を受けて136.00円を挟んだもみ合いとなった。ユーロドルは、ECB高官のタカ派発言を受けて1.0694ドルまで上昇した。ユーロ円も145.38円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、1月毎月勤労統計で実質賃金を見極めた後は、今夜のパウエルFRB議長の議会証言を控えて動きづらい展開が予想される。豪ドルは、豪準備銀行(RBA)の利上げ幅と声明に注目することになる。

 8時30分に発表される1月毎月勤労統計(現金給与総額)では、実質賃金に注目したい。12月の実質賃金は、速報値では前年比0.1%上昇と、9カ月ぶりのプラスに転じていたが、改定値で-0.6%と下方修正されている。
 黒田日銀総裁は、賃金の上昇を伴う物価上昇が確認されるまで、現在の量的金融緩和政策を続ける、と繰り返し述べている。そのため、1月の実質賃金が予想通りにマイナスだった場合、今週末の黒田日銀総裁にとっての最後の日銀金融政策決定会合では、リスクシナリオとしてのイールドカーブコントロール(YCC)許容変動幅の再拡大の可能性が後退することで、円売り材料となる。

 12時30分に発表されるRBAの政策金利は、0.25%利上げ(3.35%から3.60%)が予想されている。しかし、先週までのロウRBA総裁の発言が、タカ派「豪州のインフレはピークに達していない」とハト派「数週間のうちに経済情勢を再評価する」の間で揺れ動いており、声明文の内容に要注目となる。
 声明文がタカ派的ならば、豪ドル買い要因、ハト派的ならば売り要因となる。
 豪ドル/ドルは、中国の第14期全国人民代表大会で、李首相が2023年の経済成長率の目標を5%前後とし、昨年の目標(5.5%前後)より低く設定したことで、0.67ドル台前半で軟調に推移している。上値のテクニカルポイントは、200日移動平均線の0.6787ドル、90日移動平均線の0.6800ドル、日足一目均衡表・転換線の0.6769ドル付近にある。

 今夜のパウエルFRB議長の米上院銀行委員会での金融政策や経済情勢に関する半期に一度の議会証言は、金融政策報告書に沿った見解が示されることになっている。すなわち、FRBは2%のインフレ目標達成のためにFF金利を継続的に引き上げることが適切である、と述べ、質疑応答に入ることになる。注目ポイントは、3月21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ幅への言及となる。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、0.25%の利上げを行う確率は76%程度、0.50%の利上げ確率は24%程度を織り込んでいる。
 先日、サマーズ元米財務長官は、インフレ鈍化トレンドが無くなったことから0.50%の利上げを推奨していた。パウエルFRB議長が0.50%利上げの可能性に言及した場合、0.25%に利上げ幅を縮小しているFRBへの信頼感が低下するため、2013年5月のバーナンキ・ショックのようなパウエル・ショックとなる可能性には警戒しておきたい。


(山下)
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