東京為替見通し=ドル円はFOMCタカ派観測で底堅い展開、RBAタカ派転換に要警戒か

 31日のニューヨーク外国為替市場では、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを続けるとの思惑から米10年債利回りは4.11%台まで上昇し、ドル円は148.85円まで強含んだ。ユーロドルは0.9873ドルまで下落し、ポンドドルはスナク英政権の増税への警戒感から1.1461ドルまで弱含んだ。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派観測から底堅い展開が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入には要警戒か。
 昨日10月の円買い介入金額が6兆3499億円だったと発表された。なお、日次ベースでの介入額は来年2月に発表される。為替介入の原資となる日本の外貨準備高は9月末時点で1兆2381億ドル、10月末時点では1兆1000億ドル強あり、神田財務官は、「介入の原資は無制限にある。24時間365日、いつでもどこでも介入できる体制を構築している」と警告している。

 豪ドル/ドルは、豪準備銀行(RBA)理事会のタカ派転換に要警戒となる。
 12時30分に発表されるRBAの政策金利は、2.85%への引き上げが予想されている。前回の理事会では、市場予想を下回る0.25%の利上げ幅に留まり、声明文では、利上げの継続が「今後数カ月」から「今後一定期間」に変更されて、ハト派的となった。しかし今回は、先日発表された7-9月期の豪消費者物価指数(CPI)が前年比で4-6月期の+6.1%から+7.3%に上昇して、32年ぶりの高水準を記録していたことで、タカ派的になる可能性に要警戒となる。

 本日からのFOMCでは、0.75%の追加利上げが決定されることは織り込み済みだが、注目ポイントは、12月FOMCでの利上げ幅の協議内容となる。
 米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、21日には「11月のFOMCでは0.75%の利上げを決め、12月に0.50%に利上げペースを落とすかどうかを議論する公算が大きい。一部の当局者は過度な景気悪化を警戒し、利上げ減速や来年早々の利上げ停止を求めている」と、ハト派的な予想を報じていた。しかし、30日には、「FRBのターミナルレート(利上げの最終地点)が想定よりも高くなる可能性」というタカ派的な予想に変わっている。

 ティミラオス記者は、6月14-15日のFOMCに向けて、今回のような錯綜した情報配信をしていた。
 6月12日に「0.75%の利上げはありそうにない(unlikely)」と配信し、翌13日には「0.75%の利上げに踏み切る可能性がある(likely)」と配信し、14-15日のFOMCでは0.75%の利上げが決定された。

 6月の例に倣うならば、今回のFOMCでの決定は、ターミナルレートの引き上げ、というタカ派的となる可能性が高いことになる。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月のFOMCでの0.75%の利上げ確率は89.2%程度、12月FOMCでは0.50%利上げが47.8%、0.75%利上げが47.1%と拮抗している。


(山下)
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