東京為替見通し=ドル円、11/1-2のFOMC控えて動意に乏しい展開か

 28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州序盤に147.86円まで買われた後、147円台前半までは反落する場面もあったが底堅さを維持した。ユーロドルは0.9990ドル付近まで上昇した後、0.9929ドル付近まで反落したが、その後は0.99ドル半ばでもみ合い。ユーロ円は147.37円まで堅調に推移した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、明日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて動きづらい展開が予想される。

 先週末に発表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2022年度の消費者物価指数(CPI)見通しが前年度比+2.9%へ上方修正された。黒田日銀総裁は、来年4月8日で10年間の任期満了となるが、「来年度以降、物価は2%を下回る」と述べており、賃金上昇を伴うインフレ目標2%の達成までは、利上げするつもりはない、と述べている。
 今後も、財務省が日本銀行の金融市場局を通じて、米国債を売って、円を買い、日本銀行の業務局が、イールドカーブコントロール(YCC)の下で、日本国債を買って、円を売るという不思議な状況が続くことになる。

 11月1-2日のFOMCでは、0.75%の追加利上げが決定されることは織り込み済みだが、注目ポイントは、12月FOMCでの利上げ幅の協議内容となる。
 21日に米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は「11月のFOMCでは0.75%の利上げを決め、12月に0.50%に利上げペースを落とすかどうかを議論する公算が大きい。一部の当局者は過度な景気悪化を警戒し、利上げ減速や来年早々の利上げ停止を求めている」と報じている。米連邦準備理事会(FRB)のキーパーソンの代弁者となっているティミラオス記者は、3月の量的金融緩和の終了と利上げ開始、6月、7月、9月の利上げ幅を的確に予想してきており、市場の信頼感は高まっている。ティミラオス記者は30日、自身のツイッターの中で「FRBのターミナルレート(利上げの最終地点)が想定よりも高くなる可能性」を示唆している。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月のFOMCでの0.75%の利上げ確率は82.2%程度、12月FOMCでは0.50%利上げが48.2%、0.75%利上げが43.4%と拮抗している。フェデラルファンド(FF)金利先物取引市場では、2023年3月までにFF金利の上限が4.75-5.00%となり、12月までに4.25-4.50%に低下するとの見方が織り込まれている。

 明日からのFOMCを巡っては、11月8日の中間選挙に向けて、民主党上院議員2人が利上げ休止の要請をしている。米金融当局を監督する上院銀行委員会のブラウン委員長とヒッケンルーパー議員が、パウエルFRB議長に対して、金融政策引き締めによる労働市場への打撃に焦点を絞るよう求め、利上げ休止を要請した。
 バイデン米大統領の支持率は10月25日付けの世論調査で39%まで低下しており、中間選挙で上下院での敗北、すなわち、レームダックとなる可能性も警戒されている。
 米国民の中間選挙での関心事は、物価上昇から、住宅ローンや自動車ローン金利の上昇へ移行しつつあり、バイデン米政権の経済政策への不手際が支持率低下とレームダック化の可能性を高めつつある。



(山下)
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