東京為替見通し=ドル円、FOMCでの0.75%利上げ観測で伸び悩む展開か

 25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、対ユーロでドル買いが強まった影響を受けて136.79円まで上昇した。ユーロドルは、欧州時間の高値1.0258ドルから1.0204ドル付近まで反落した。露国営ガスプロムがノルドストリーム1のタービンを停止し、ガス供給量を減少させると発表したことで、欧州の天然ガス価格の指標となるオランダTTF天然ガス先物が10%超の大幅高となった。ユーロ円は株高を背景に140.07円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から明日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の利上げ観測で上値が重い展開が予想される。

 フェデラル・ファンド(FF)金利先物での直近の利上げ確率は、0.75%が75%程度、1.00%が25%程度となっており、リスクシナリオは1.00%の利上げが断行された場合となる。そして、来年1月にFF金利が3.395%でピークに達することが示唆されており、その後3月にかけて3.34%まで低下する見通しとなっている。

 また、米国2年債と10年債の長短金利逆転(逆イールド)の状態が約2週間続いており、リセッション(景気後退)への警戒感が高まりつつある。米国2年債の利回りは、FF金利の到達点と目される3-3.5%程度の見通しを反映しているが、10年債の利回りが低いのは、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策正常化により、最終的にはリセッションに陥り、来年以降は利下げに転じるとの見通しを反映していることになる。
 昨日の米10年債利回りは、一時2.84%程度まで上昇する局面があったものの、米国債入札やFOMCに対するヘッジという特殊要因と見なされている。
 米国のリセッション懸念を受けて、明日発表される米国4-6月期国内総生産(GDP)にも注目が集まっている。1-3月期GDPのマイナス成長に続いて、2四半期連続してのマイナス成長となった場合、テクニカルなリセッションとなるものの、あくまでもテクニカルに過ぎないことで、全米経済研究所(NBER)景気循環判定委員会は、本格的なリセッションとの判定を見送るのではないか、と報じられている。すなわち、リセッションの時の米国の国政選挙や大統領選挙では、政権与党は、経済政策の失敗により敗北してきており、11月の中間選挙に向けたホワイトハウスの意向なのかもしれない。

 一方、ロシアによる欧州と日本の経済制裁に対する報復措置、「ノルドストリーム1・2」と「サハリン2」での天然ガス供給遮断の可能性には、引き続き警戒しておきたい。
 昨日、ロシアの国営ガス大手ガスプロムは、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」を通じて送るガス供給量を、27日から現行の半分に削減すると発表した。供給量は既に大幅に削減されており、今回の措置で通常の2割にまで減ることになる。
 また、今月末が期限となっているロシア・サハリン(樺太)沖の液化天然ガス(LNG)開発事業「サハリン2」への日本企業の申請が却下された場合、日本の天然ガスの調達に支障を来す可能性が高まることになる。

(山下)
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