東京為替見通し=ドル円、9月FOMCでの0.50%利上げ観測で上値が重い展開か

 11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、7月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回り、米10年債利回りが2.72%台まで低下したことから円買い・ドル売りが先行し、131.74円まで下落した。しかし、米10年債利回りが2.90%台まで急上昇したことで、133.14円前後まで反発した。ユーロドルは、米連邦準備理事会(FRB)の急激な利上げ観測が後退したことで1.0364ドルまで上昇した。ユーロ円は136.31円から137.39円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米国7月の消費者物価指数(CPI)とPPIでのインフレ率鈍化を受けて9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%利上げ観測が台頭していることで、上値が重い展開が予想される。
 また、本邦勢は昨日の山の日からお盆休みに入っており、本邦輸出企業はドル売りオーダーを136円以上に置き、本邦輸入企業はドル買いオーダーを131円以下に置いている模様で、東京市場での本邦実需筋の売り買いは期待できない。さらに、毎年恒例の8月15日の米国債償還・利払いに伴う円買い需要が、ドル円の上値を抑える要因となっている。

 米7月のCPIが前年比+8.5%へ低下し、PPIが前月比▲0.5%と、コロナ禍初期以来のマイナスだったことで、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月20-21日のFOMCでの0.75%の利上げ確率は38.5%へ低下、0.50%の利上げ確率は61.5%へ上昇している。
 しかしながら、9月20-21日のFOMCまでには、7月PCE総合価格指数(8/26)、8月雇用統計(9/2)、8月CPI(9/13)の発表が控えていることで、予断を許さない状況が続くことになる。

 また、台湾を巡る米中関係は、緊迫化の様相を呈し始めている。
 中国軍による「72時間作戦計画」としての台湾包囲実弾軍事「演習」が8月4日から7日まで断行され、実戦化連合演訓が8日から10日まで続けられた。「演訓」とは、軍事演習が常態化されることを意味するらしい。そして、8月6日から8日にかけては、中国大陸の北方の海岸2か所で、海上から陸上に向けた上陸演習が同時並行的に行われていたらしい。
 バイデン米政権が物価高騰対策の一環として検討していた、トランプ前政権が導入した対中制裁関税の撤廃は白紙に戻された模様で、さらに、追加の対中制裁関税が検討されている、との関係筋の話が伝えられた。


(山下)
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