NYマーケットダイジェスト・4日 株続落・金上昇・円高

(4日終値)
ドル・円相場:1ドル=134.29円(前営業日比▲0.42円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=147.90円(▲1.23円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1012ドル(▲0.0050ドル)
ダウ工業株30種平均:33127.74ドル(▲286.50ドル)
ナスダック総合株価指数:11966.40(▲58.93)
10年物米国債利回り:3.38%(△0.04%)
WTI原油先物6月限:1バレル=68.56ドル(▲0.04ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=2055.7ドル(△18.7ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は3日続落。1-3月期米単位労働コスト速報値が前期比年率6.3%と予想の5.5%を上回ったことが伝わると、米金利の上昇とともにドル買いが先行。22時30分前に一時134.88円と日通し高値を更新した。
 ただ、前日引け後に伝わった「米地銀パックウエスト・バンコープは身売り含めた戦略的選択肢を検討」との報道に続き、「米地銀ウエスタン・アライアンス・バンコープは身売り含む複数の選択肢検討」との一部報道が伝わると、米中堅金融機関の連鎖的な経営破綻への警戒が高まり、リスク回避の円買いが活発化した。1時過ぎに一時133.50円と日通し安値を更新した。
 もっとも、ウエスタン・アライアンスが身売り検討との報道を否定すると、米国株の下げ渋りとともにドル円にも買い戻しが入った。一時は3.29%台まで低下していた米10年債利回りが上昇に転じたことも相場を下支えし、134.35円付近まで下げ幅を縮めた。

・ユーロドルは3日ぶりに反落。重要イベントを前にポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが先行すると、21時過ぎに1.1082ドル付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値1.1091ドルや年初来高値である4月26日の高値1.1095ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。
 欧州中央銀行(ECB)はこの日、定例理事会を開き市場予想通り0.25%の利上げを決めたと発表。3会合ぶりに利上げ幅を縮小したことを受けて、ユーロ売りが進行。欧米株価の下落に伴うリスク・オフのドル買いも入り、一時1.0986ドルと日通し安値を更新した。
 ただ、ラガルドECB総裁が会見で「我々にはまだすべきことがある」「利上げ停止しないことは極めて明らか」と述べ、追加利上げの可能性を示唆したこともあり、下値は限られた。「何人かのECB理事会メンバーは今後2-3回の利上げを見込んでいる」との観測報道も相場を下支えした。

・ユーロ円は3日続落。米債務上限問題を巡る懸念や米金融システム不安再燃への警戒から、ダウ平均が一時470ドル超下落するとリスク・オフの円買いが活発化。24時前に一時147.13円と日通し安値を付けた。ただ、米国株が下げ幅を縮めるとユーロ円にも買い戻しが入り、147.98円付近まで下げ渋った。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で追加利上げの可能性を排除しなかった一方、早期利下げを否定したことが嫌気された。「米地銀パックウエスト・バンコープは身売り含めた戦略的選択肢を検討」との報道で、銀行システムへの懸念が再燃したことも相場の重しとなり、指数は一時470ドル超下げた。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も4日続落した。

・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反落。米債務上限問題を巡る懸念や米金融システム不安再燃への警戒から、相対的に安全資産とされる米国債には買いが先行した。ただ、この日発表の1-3月期米単位労働コスト速報値が予想を上回ったことが分かると、徐々に売りが優勢となり下げに転じた。市場では「明日の4月米雇用統計を控えて、ポジション調整目的の売りが出た」との声も聞かれた。

・原油先物相場は小幅に4日続落。米欧中銀の利上げによる景気抑制が、エネルギー需要を抑えるとの見方が重し。昨日引け後の時間外取引では、63.64ドルまで安値を更新する大きな下振れ場面もあった。

・金先物相場は3日続伸。米地銀の経営状態を懸念したリスク回避が優勢。米金利低下からドルが軟化し、金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味回復や、価値が低下したドルの代替資産として金を買う動きが上昇を後押しした。リスク回避資産としての金購入も意識された。

(中村)
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