予想とまとめ

週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英米通商合意の影響を見定め
2025/05/10 03:35
◆ポンド、英米通商合意の影響を見定め、詳細は今後も交渉
◆ポンド、英中銀は予想通り利下げも、MPCメンバーの意見分かれる
◆加ドル、米加関係の行方を注視

予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円 
加ドル円 102.50-106.50円 

5月12日週の展望
 英国と米国は8日、貿易協定の合意を発表した。10%の基準関税は維持されるものの、英自動車メーカーはトランプ米大統領が他国に課した税率25%よりも低い関税で米国に輸出できる。協定の詳細については交渉が続くとされ、今後も内容を見定めながらの取引となるだろう。

 イングランド銀行(英中銀、BOE)は8日、政策金利の4.5%から4.25%に引き下げを公表。2会合ぶりの利下げや下げ幅は市場の予想通りであり、声明内容にも大きな変更はなかった。ただ、金融政策委員会(MPC)メンバー内で意見が分かれたのは予想外だった。ディングラ委員とテイラー委員の0.50%引き下げ主張は想定内としても、マン委員とピル委員(中銀チーフエコノミスト)が据え置きを主張したのはサプライズ。英中銀が緩和ペースを加速する可能性も高まっていただけに、この時点で2人も利下げ慎重派がいることはベイリーBOE総裁の舵取りを難しくさせそうだ。なおマン委員は、0.25%利下げした2月会合では0.50%の大幅利下げを主張していた。

 英米の貿易関係は最悪な展開が避けられたため、英中銀の次の一手を探るうえでは経済データを1つずつ確認していく必要があるだろう。来週13日の雇用データでは賃金上昇圧力の強さを注視。15日には1-3月期国内総生産(GDP)速報値や3月鉱工業生産が発表予定となっている。

 加ドルは、米加関係の行方に左右されそうだ。カーニー加首相は6日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談した。その後の記者会見でトランプ米大統領が「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉が始まる可能性」と述べ、これが好感されて加ドル買いが強まる場面もあった。もっとも米大統領は、カナダに課した関税について撤回する考えはないことを強調。さらに、カナダ国民を怒らせている「カナダは米国の51番目の州になるべき」という持論を改めて示した。米加首脳会談は、重要な貿易問題についても平行線のまま終了。しかしながら、両首脳ともに「話し合いは建設的だった」と述べており、協議継続にも前向きな姿勢を見せた。

 米国にとって、カナダはメキシコに次ぐ第2の貿易相手国であり、米製品にとっては最大の輸出市場。さすがにトランプ大統領も、強気一辺倒では交渉が進まないことに気付き始めている。カナダにとっても貿易戦争の長期化は同国経済にとって脅威であり、カーニー加首相もなるべく早いうちに落ち着き処を見つけたいだろう。米加首脳は今後、6月中旬にカナダ西部カナナスキスで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議で再会する。
 
5月5日週の回顧
 週前半に全般円高が進み、対円でポンドは190円前半、加ドルは103円前半まで下落した。ただ、その後は米中貿易摩擦の緩和期待や英米通商合意の報道を背景にリスク志向ムードが広がると、ポンド円は193円半ばまで反発。加ドル円も105円手前まで切り返した。また、ポンドドルは買い先行も1.34ドル付近では上値を抑えられ、1.32ドル前半まで戻り売りに押された。加ドルは対ドルで1.37加ドル半ばから1.39加ドル前半まで売りが強まった。(了)

(執筆:5月9日、9:00)

国内イベントスケジュール

2025/05/12 06:15
12日
08:503月国際収支速報
14:004月景気ウオッチャー調査
13日
08:504月マネーストックM2
08:50日銀金融政策決定会合における主な意見(4月30-5月1日分)
14日
08:504月企業物価指数
15日
08:50対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース、2週分)
16日
08:501-3月期実質国内総生産(GDP)速報値
13:00中村豊明日銀審議委員、講演
13:303月鉱工業生産確報
13:303月設備稼働率
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

海外イベントスケジュール

2025/05/12 06:30
12日
17:00ロンバルデリ英中銀(BOE)副総裁、講演
19:30グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
21:003月メキシコ鉱工業生産
21:50マン英中銀MPC委員、講演
23:25クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
13日
03:004月米月次財政収支
シンガポール(べサックデー)、インド(釈迦生誕日)、休場
08:014月英小売連合(BRC)小売売上高調査
09:305月豪ウエストパック消費者信頼感指数
10:304月豪NAB企業景況感指数
15:004月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
15:001-3月英失業率(ILO方式)
16:00エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
16:003月トルコ経常収支
17:00マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
17:45ピル英中銀MPC委員兼チーフエコノミスト、講演
18:005月独ZEW景況感指数
18:005月ユーロ圏ZEW景況感指数
18:301-3月期南アフリカ失業率
19:304月インド消費者物価指数(CPI)
21:304月米CPI
エネルギーと食品を除くコア指数
24:00ベイリーBOE総裁、クノット・オランダ中銀総裁、講演
トランプ米大統領、中東歴訪
14日
10:301-3月期豪賃金指数
15:004月独CPI改定値
20:00MBA住宅ローン申請指数
21:303月カナダ住宅建設許可件数
23:00ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
23:30EIA週間在庫統計
15日
06:40デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
10:304月豪雇用統計(失業率/新規雇用者数)
15:004月独卸売物価指数(WPI)
15:003月英国内総生産(GDP)
15:001-3月期英GDP速報値
15:003月英鉱工業生産/製造業生産高
15:003月英商品貿易収支/英貿易収支
15:001-3月期ノルウェーGDP
15:304月スイス生産者輸入価格
15:454月仏CPI改定値
16:05チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
18:001-3月期ユーロ圏GDP改定値
18:003月ユーロ圏鉱工業生産
19:15デギンドスECB副総裁、講演
21:003月ブラジル小売売上高
21:154月カナダ住宅着工件数
21:303月カナダ製造業出荷
21:303月カナダ卸売売上高
21:304月米卸売物価指数(PPI)
食品とエネルギーを除くコア指数
21:304月米小売売上高
21:305月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
21:305月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
21:30前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
21:40パウエルFRB議長、あいさつ
22:154月米鉱工業生産
設備稼働率
23:00ディングラ英中銀MPC委員、講演
23:003月米企業在庫
23:005月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
16日
04:00メキシコ中銀、政策金利発表
17:301-3月期香港GDP確定値
18:003月ユーロ圏貿易収支
21:303月対カナダ証券投資
21:304月米住宅着工件数
建設許可件数
21:304月米輸入物価指数
23:005月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
24:00レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、ロンバルデリBOE副総裁、講演
17日
01:001-3月期ロシアGDP速報値
01:004月ロシアCPI
05:003月対米証券投資動向
18日
ポルトガル総選挙
ポーランド大統領選
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
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