週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、金融政策への思惑で神経質

◆ポンド、英金融政策への思惑で神経質な動き
◆ポンド、金利高による成長減速が重しに
◆加ドル、1-3月期GDPに注目、米金利や原油相場も取引材料

予想レンジ
ポンド円 170.50-175.50円
加ドル円 100.50-104.50円

5月29日週の展望
 ポンドは英金融政策に対する思惑で神経質に上下しそうだ。24日発表の4月英消費者物価指数(CPI)は前年比8.7%上昇と昨年3月以来の伸び率となった。市場予想比では0.5ポイントの上振れだったが、英金融当局者を失望させたのはCPIコア(エネルギーや食品・たばこを除く)が前年比6.8%と1992年以来の水準まで加速したことだった。

 CPIの結果を受けて短期金融市場では、約1カ月後にイングランド銀行(英中銀、BOE)が開く金融政策委員会(MPC)での「0.25%の利上げ」を完全に織り込んだ。その後も追加利上げが想定され、政策金利のピークもそれまでの見込みだった5%付近から5.3%超えもあり得るとしている。英金利先高観の強まりを背景に為替市場もポンド買いで当初は反応。ただ、一巡後はあっさりと売り戻されるなど、特に対ドルでの上値の重さが目立っている。

 今回のCPIでも英国のサービスや日用品の価格上昇が顕著であるように、英国立統計局のエコノミストは「食品価格が歴史的な最高値に近い」ことを指摘。高水準のインフレが国内消費を低迷させ、経済成長にとって重い足かせだ。加えて、インフレを抑制するための金融引き締め策でローン金利が上昇し、消費者や企業の支出が圧迫されている。そういった状況での利上げとなれば、当然ながら英経済への打撃も大きくなるだろう。悪い金利高が長期化するようなら、ポンドの買いづらさが意識されるかもしれない。ただし、クロス円はドル円の方向性に影響されやすく、ドル高円安の流れが続くようならばポンド円の下値は限定されるだろう。

 加ドルは米金利や原油相場の動向を見定めながら、週半ばに発表される1-3月期国内総生産(GDP)を確かめることになる。前回10-12月期のGDPは、前期比年率で横ばいと市場予想の1.5%増を大きく下回った。ただ今年に入り月次GDPが回復基調を示しており、四半期ベースでも改善が期待されている。カナダ中銀が予測する今年後半からの「経済が供給過剰に陥る」前に、どの程度まで経済が持ち直しているかが注目される。なお、中銀が4月に示した2023年成長見通しでは、1.4%増と前回よりも0.4ポイント上方修正されている。
 米金利については、6月13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えたブラックアウト期間が6月3日から始まるため、米連邦準備理事会(FRB)高官から駆け込み的な発言が出る可能性に注意したい。原油相場は石油輸出国機構(OPEC)プラス追加減産への思惑で右往左往しそうだ。

5月22日週の回顧
 ポンドは対ドルで1.24ドル後半から1.23ドル手前まで下落。英CPI後の上昇も続かず、英景気の減速懸念や米金利上昇が重しとなった。一方でポンド円は堅調なドル円につれて172円後半まで上値を伸ばし、年初来高値を更新した。

 加ドルは対ドルでは1.34加ドル後半から1.36加ドル半ばまで加ドル安ドル高が進行。米金利高を背景としたドル買いの流れに歩調を合わせた。加ドル円は102円台を中心にしっかり。原油高や堅調なドル円に支えられた。(了)

(小針)
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