週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、利上げ期待が支え

◆対円、植田日銀総裁の初めての日銀会合に注目
◆ポンド、英賃金・CPIを受けた利上げ期待の高まりが支え
◆加ドル、1年7カ月ぶりの低水準となったCPIが重し

予想レンジ
ポンド円 164.50-170.00円
加ドル円 98.00-101.50円

4月24日週の展望
 来週、対円では日銀の金融政策決定会合に注目。植田日銀新総裁が当面は金融緩和の継続で物価目標の達成に近づいていく方針や、共同声明について「直ちに見直す必要はない」との見解を示し、来週の会合で金融政策の変更はないとの見方が強い。

 今週は関係者の話として「日銀が来週の会合でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を修正することへ慎重な意見が広がっている」と伝わると円売りに反応した。このように、植田総裁ら新正副総裁が初めて参加する会合に市場の注目度は高く、サプライズがなくても円相場が動意づく可能性はある。

 来週、英国内では目立った経済指標の発表予定はなく、イングランド銀行(英中銀、BOE)関係者らの発言などに注目している。

 今週の英経済指標の結果を受けて、市場ではBOEの利上げ継続への期待感が高まり、ポンドの下支えとなりそうだ。金融政策委員会(MPC)は「賃金とインフレの伸びがいずれも減速する」と予想していたが、12-2月の週平均賃金は前年比+5.9%と市場予想を大きく上回り、3月消費者物価指数(CPI)も前年比+10.1%と2ケタ水準を維持した。MPCは「インフレ圧力が収束すれば利上げ停止もあり得る」と示唆していたが、最近の経済データは市場やBOEが考えていたほどインフレは制御されていない可能性を示唆。BOEには、利上げ停止を決めるのはまだ早いとのメッセージを送っている。

 市場では5月会合で0.25%の利上げが確実視され、6月会合でも追加利上げに踏み切るとの観測が浮上。政策金利ピークの見通しは5.0%に上昇している。利上げサイクルがまだ続くとの見方に傾いており、ポンドの底堅い動きが予想される。

 また、加ドルは3月CPIの伸びが予想以上に減速し、上値の重い動きが見込まれる。3月CPIは前年比+4.3%と1年7カ月ぶりの低い伸びとなった。カナダ中銀(BOC)が重視するコアCPIも+4.5%と2月の+4.9%を下回った。マックレムBOC総裁は、「堅調な需要の持続と労働市場の引き締まりによるサービス価格の上昇圧力の緩和はこれからも鈍い」との見解を示し、インフレ高への警戒感を緩めていない。ただし足もとでCPIはBOCの「年央まで3%前後まで減速」との見通しに沿った動きとなっている。市場では、当面政策金利を据え置き、年後半には利下げに動くとの見方が強まっている。

 来週、加国内では2月GDPの発表が予定されているが、結果が加ドルの大幅な動きにつながる可能性は低い。加ドルは日米金融政策の思惑に絡んだ円やドルの動きに左右されそうだが、産油国通貨として上昇が一段落している原油相場の動きにも注目。

4月17日週の回顧
 全般ドル買い・円売りが優勢となるなか、ポンドは予想を上回る賃金・インフレデータを支えに底堅い動き。ポンドドルは1.23ドル半ばで下げ渋った後1.24ドル後半に切り返した。ポンド円は一時168円手前まで年初来高値を更新した。

 加ドルは予想比下振れの3月CPIが重しとなり、ドル/加ドルは1.34加ドル後半まで加ドル安となった。加ドル円は100円半ばで伸び悩んだ。(了)
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