週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、4月CPIに注目

◆ポンド、英中銀の次の一手を探る展開
◆加ドル、4月加CPIに注目、減速傾向は継続か
◆ポンドや加ドル、短期金融市場の方向性を見定め

予想レンジ
ポンド円 166.00-171.00円
加ドル円 97.50-101.50円

5月15日週の展望
 ポンドはイングランド銀行(英中銀、BOE)の次の一手を探りながらの展開か。BOEは11日、市場予想通り政策金利を4.25%から4.50%に引き上げた。前週に米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が行った利上げに沿った決定だ。議事要旨では「インフレが持続するなら追加引き締めが必要」とし、その後ベイリーBOE総裁も高過ぎるインフレ率に警戒感を示した。

 今回の英金融政策に対する市場の反応は、まずは金利上昇からポンド買いと素直だったものの、その流れは続かず。四半期金融政策レポートで示された「年末にかけてインフレ率が急速に低下」との見通しが意識されたもよう。またレポートでは、インフレの低下傾向は2024年も続き、年後半には2%目標を達成できると予想。これを受けて短期金融市場は、夏までの更なる引き締めに対する期待度をやや縮小させている。英金融政策を通過したポンド相場は、暫く足もとの景気動向を一つずつ確かめながらの値動きとなりそうだ。16日の4月雇用統計や週平均賃金の結果で利上げ織り込み度に変化があるか注目される。

 カナダでは来週、週を通して経済指標が発表される。加ドルはそれらの結果を見定めながらの取引となりそうだ。週初には4月住宅着工件数、その後は消費者物価指数(CPI)、週末には3月小売売上高の結果が明らかになる。やはり最も注目されるのが4月CPIだろう。来月7日のカナダ中銀(BOC)金融政策決定会合の前の重要な指標としては、今月末に1-3月期国内総生産(GDP)が予定されている程度。雇用統計(5月分)は中銀会合後の2日後だ。そうなると今回のインフレ動向が会合に与える影響はいつも以上に大きいかもしれない。

 前回3月分のCPIは前年比4.3%と市場予想に沿った伸び率だったものの、2月から0.9ポイント減速し、21年8月以来の低い上昇率だった。BOCが重要視するCPIトリムも前年比4%台で1年1カ月前の水準まで鈍化。マックレムBOC総裁は今月初め、インフレ率は約3%まで低下するとの見通しを示しており、4月CPIも鈍化基調が続く可能性は高そうだ。もっとも同総裁は、中銀目標の2%にインフレ率が回帰するのはまだ困難との見解も明らかにしており、市場が期待し始めている早期利下げについてもけん制している。CPI結果を受けた短期金融市場の方向性が加ドルの動向を左右しそうだ。

5月8日週の回顧
 ポンドや加ドルは買いが先行。前週末の強い米雇用統計や、地銀リスクの後退を受けた流れが続いた。ポンド円は171円台に乗せ、英金利先高観も支えにポンドドルは上値を試す動き。米CPI後には1.2680ドルまで年初来高値を更新した。ただ、その後は英金利の伸び悩みで上値を切り下げている。

 加ドルは、前週発表の4月雇用統計が予想よりも強く、週をまたいで加ドルに資金が向かった。原油相場の上昇にも後押しされ、対円では101円半ば、対ドルで1.33加ドル前半まで堅調に推移。ただ、週後半にはリスク回避の動きが強まり、加ドルは売り戻された。(了)
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