週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、雇用・賃金データに注目

◆米・欧・日の金融政策会合に注目
◆ポンド、22日に英中銀会合を控え雇用・賃金データに注目
◆加ドル、加中銀の利上げとOPECプラスの減産延長合意が支え

予想レンジ
ポンド円 171.50-176.50円
加ドル円 102.50-106.50円

6月12日週の展望
 ポンドは今月22日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利の発表を控え、来週は米・欧・日の金融政策会合を見極める相場展開となる。最近は主要中銀の金融政策見通しをめぐり不透明感が増しており、市場は金融政策の先行きに対する金融当局の見解を見極めようとしている。

 ポンド独自はBOEの利上げ継続観測と英景気後退懸念に挟まれ、方向感に乏しい動きが続いている。BOEは5月会合で景気とインフレ見通しを引き上げたが、先行きの政策に対して明確な手がかりは示さなかった。インフレの高止まりが長引くとの見方が強まっており、市場では6月会合での0.25%利上げを完全に織り込み、年内に利下げを開始するとの見方から年末までに利上げを継続するとの見方に転換している。BOEの引き締め継続の思惑がポンドの支えとなっているが、市場のBOEの利上げ期待に行き過ぎ感もあるなか、利上げの経済への悪影響が鮮明になりつつあれば、ポンドは再び売りに抑える可能性がある。

 来週は英5月雇用・賃金データや英4月GDPにも注目。最近の雇用・賃金データでは失業率が低水準にとどまり、賃金上昇率の高止まりで、労働需給のひっ迫が引き続き物価上昇圧力を強めていることを示す内容となっている。また、1-3月期のGDPはマイナス成長こそ回避したが、3月はマイナス成長に落ち込み、4月もさえない結果となれば英景気回復の弱さが意識され、ポンドに売り圧力が強まる可能性がある。

 加ドルは加国内で動意につながりそうな主な経済指標や注目のイベントはなく、金融政策決定を受けたドルや円の動きに左右されそうだが、カナダ中銀(BOC)による予想外の利上げと石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」の協調減産の延長を背景とした原油の底堅い動きが下支えとなりそうだ。

 BOCは今週の7日に予想外に0.25%の利上げを決定した。利上げは3会合ぶりで政策金利を22年ぶりの高水準となる4.75%に引き上げた。BOCは声明でインフレの高止まりに懸念が強まったとし、市場では7月か9月会合での025%追加利上げ思惑が強まっている。
 
 また、「OPECプラス」は4日に閣僚級会合を開き、現在の協調減産の枠組みを2024年末まで延長することで合意した。サウジアラビアが市場安定化のために7月に日量100万バレルの原油供給を追加削減すると表明した。「OPECプラス」が生産調整に協力して取り組む姿勢を示すことが原油相場の下支えとなる。

6月5日週の回顧
 来週に米FOMCを控え、相場全体の方向感が鈍く、ポンドドルは1.24ドルを挟んで小幅の上下に始終した。ポンド円は2016年2月以来の175円大台復帰がお預けとなるも、172円後半で下げ渋り174円台に切り返すなど下値の堅い動き。BOEは量的緩和(QE)プログラムの一環として買い入れた200億ポンドの社債をほぼ売却し、売却プログラムの完了を発表した。
 加ドルはBOCの予想外の利上げも支えに底堅い動き。ドル/加ドルは1.33加ドル前半まで加ドル高となり、加ドル円は昨年11月以来の105円台復帰に迫った。(了)
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