週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、BOC声明内容に注目

◆ポンド、金利差による買いはでるも英成長減速への警戒感は残る
◆加ドル、OPECプラス会合後の原油相場を注視
◆加ドル、金利は据え置き予想、注目は声明内容に

予想レンジ
ポンド円 172.00-177.00円
加ドル円 101.00-105.00円

6月5日週の展望
 ポンドは週前半、6月2日発表の5月米雇用統計の結果を受けた流れが引き継がれるかに注目。金融市場が最も注目する米連邦公開市場委員会(FOMC)を6月13-14日に控え、米国ではブラックアウト期間に突入。米金融当局者の見解が表に出ない分だけ、相場は神経質な動きとなるかもしれない。

 5月末から6月入りにかけてポンドの支えとなっていたのは、インフレ高止まりを背景に英中銀(BOE)による金融引き締めが長期化するとの見方が広がったから。短期金融市場では、現状4.5%の政策金利は年内に5.3%超えまで引き上げが織り込まれた。米金融政策に対しては、夏に利上げがあったとしても年末までには利下げに転じるとの見方が依然として根強い。日銀に関しては超緩和の継続が確実視されている。こうした金利差を背景にしたポンド買いは確かに出るのだろう。ただ、高金利が英国内の企業負担を拡大させているなかでの追加利上げは、英経済全体にとっては打撃。成長減速への警戒感がポンド買いをためらわせることになる可能性もある。

 加ドルは、米雇用統計後からの相場全般のリスクセンチメントを見据えながらも、週明けは6月4日開催の石油輸出国機構(OPEC)プラス・閣僚級会合を受けた原油相場の動きに注意したい。会合では更なる追加減産が決定されるかが重要なポイントとなる。また、6月7日にはカナダ中銀(BOC)が金融政策を公表する。政策金利については3会合連続の据え置きで4.5%が市場のコンセンサス。注目は声明文の内容だろう。足もとでインフレが想定以上に加速し、景気も中銀の見通し通りに拡大傾向にあるなかでタカ派に傾くかが注視される。

 先月半ばに発表された4月消費者物価指数(CPI)は前年比4.4%上昇と鈍化予想から上振れただけでなく、3月分も上回った。先月末には、1-3月期国内総生産(GDP)が前期比年率3.1%増と2.5%増の予想を超えたことが分かった。今のところ短期金融市場は、BOCが夏までは金利を据え置くとし、9月または10月会合で0.25%の利上げを織り込んでいる。中銀は前回声明で「CPI上昇率は今年半ばに約3%まで急速に低下する」と述べ、その上で「2024年末までに目標の2%まで徐々に低下すると予想」と表明。初めて示した具体的なインフレ目標の達成時期に対する口調が変わるようなら、加ドル相場の大きな動意に繋がるのではないか。さらに、BOC会合後は6月9日発表の5月雇用統計を待つことになる。同指標は今年に入り予想をことごとく上回ってきた。今回も労働市場の底堅さが確認できるか注目される。

5月29日週の回顧
 ポンドドルは1.23ドル前半で下値を固め1.25ドル台まで上昇。月末に絡んだポンド買いや米金利低下を背景としたドル売りに後押しされた。ポンド円は約7年3カ月ぶりとなる174円台まで買われた。日英金利差拡大が意識され、リスクオンの円売りも支えとなった。

 加ドルは対ドルで1.36加ドル半ばから、原油先物の急騰を受けて1.34加ドル前半まで加ドル高に振れた。加ドル円は103円半ばまで年初来高値を更新するも、ドル円につれて伸び悩む場面があった。(了)
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