東京為替見通し=口先介入の効果薄れ円安継続か、豪ドルはCPI次第で乱高下も

 海外市場でドル円は、米経済指標が軒並み予想を上回ったことが分かると、米10年債利回りの上昇とともに円売り・ドル買いが活発化し、144.17円と昨年11月以来7カ月ぶりの高値を更新した。ユーロドルはECBの利上げ継続観測が改めて意識されてユーロ買い・ドル売りが進み一時1.0977ドルまで上昇した。

 本日の東京市場も円安地合いを維持するか。先週から財務省関係者や政府要人から円安けん制発言が出ているものの、すでに市場参加者や人工知能(AI)取引も口先介入へは反応が鈍くなってきている。実弾が伴う為替介入が無い限りは、円安の進行を止めるのは難しそうだ。もっとも、長期間為替介入が行われなった場合は、最初の介入は東京勢が参入している時間帯に行われる傾向があることで、東京時間では介入への一定の警戒感があることで、円売りは緩やかなものにしかならないだろう。また、昨年の円買い介入は9月22日から行われたが、ドル円が145.90円に到達した後に行われていることで、現行水準からの円売りは慎重にならざるをえない。
 なお、本日は本邦から主だった経済指標の発表が無く、要人の講演なども予定されていないことで、円は株式市場の値動き、日米の金利動向、実需勢のフローなどが左右する相場展開になると思われる。

 ドル円以外では、本日は豪ドルの値動きに注目したい。先週20日に発表された豪準備銀行(RBA)議事要旨で「利上げ決定は微妙なバランスであった」ことが明らかになって以来、豪ドルは軟調な動きを見せていた。しかし、昨日は中国人民銀行(中央銀行)による元買い介入で元安が一服し、中国・香港株式市場が急反発したことを支えに、リスク志向に敏感な豪ドル売りも収まった。
 本日の豪ドルも、元や中国の株式市場の値動きで上下するだろうが、豪州からは5月の消費者物価指数(CPI)が発表されることで、更に値動きが神経質になる可能性が高い。月次の数字は昨年12月の+8.4%をピークに今年3月には+6.3%まで低下したが、4月になると燃料価格の高騰と住宅価格の大幅上昇を受けて+6.8%まで再び上昇に転じた。しかし、5月は+6.1%まで急低下するとの予想になっている。予想通りインフレが抑えられていれば豪ドルは重くなるだろう。一方で、5月の豪雇用統計が好結果だったこともあり、5月のインフレ率も高止まりするようなことになれば、7月4日に行われるRBA理事会では、6月に続き利上げを決定する可能性が高まり、豪ドルは強含みそうだ。

(松井)
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