東京為替見通し=豪ドル RBAの金融政策に要注目、米では本日からFOMC

 1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は137.54円まで上昇。強い4月米ISM製造業景気指数を受け米長期金利が上昇し、ドル買いが進行した。ユーロドルも1.0964ドルまでユーロ安ドル高が進んだ。ユーロ円は、大規模な金融緩和策を継続する日銀と利上げ継続中の欧州中央銀行(ECB)との金融政策の方向性の違いが鮮明となる中、150.96円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場ではドル円は、本日から明日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、200日移動平均線(以下200日線)137.01円の上での様子見が予想される。注目は、豪ドルが豪準備銀行(RBA)の金融政策を受けて動意付くかどうか。RBAは金利据え置き決定が予想され、その声明内容が注視される。

 さきほどイエレン米財務長官がマッカーシー下院議長ら与野党議会指導部に宛てた書簡で、「われわれの予測では、6月初旬までには政府の支払い義務全てを履行し続けることができなくなる。早ければ6月1日の可能性もある」と通達しており、債務上限を巡るリスクにも警戒しておきたい。イエレン米財務長官は、先日、「金融機関の融資引き締めが、FRBが行う必要がある追加利上げの代わりになる可能性がある」と述べ、追加利上げは不要と述べていた。

 昨日のドル円は、200日線137.00円を上抜けて137円半ばまで上げ幅を広げた。前回の同日線超えは、3月8日のパウエルFRB議長の議会証言での0.50%の追加利上げ示唆を受けた137.91円まで。その後、3月10日の全米16位のシリコンバレーバンクや同月12日の全米29位のシグネチャー・バンクの経営破綻を受けて200日線を下回った。

 昨日は、JPモルガン・チェースが全米14位のファースト・リパブリック・バンクを救済買収した。これにより金融システム不安定化への警戒感が後退したため、ドル買いが活発化し200日線超えとなった。

 15年前の2008年5月30日、JPモルガン・チェースがアメリカ第5位の投資銀行(証券会社)ベア・スターンズを救済買収した。当時、バーナンキ第14代FRB議長は、「この問題はこれで終わり」と幕引きを図った。しかし、2007年8月のパリバ銀行と2008年5月のベア・スターンズは、2008年9月のアメリカ第4位の投資銀行(証券会社)リーマン・ブラザーズの破綻の序章に過ぎなかった。

 今回も、2008年の米国の住宅不動産バブル崩壊の再現にならないとは限らないため、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。

 本日からのFOMCでは、米銀3行の経営破綻にも関わらず、3月のFOMCで予告された通りに、10回目の利上げでFF金利誘導目標は5.00-25%となり、年末まで維持されることが見込まれている。すなわち、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は、これまでの利上げ継続路線から、高金利維持路線に転換して、インフレ抑制に取り組む政策に切り替えられることになる。FRBがインフレ指標として注視している3月のPCE総合価格指数は、昨年6月の前年比+6.8%から前年比+4.2%まで伸び率が鈍化していた。伸び率が減速しているインフレ率を、FF金利5.00-25%で抑えながらインフレ目標2%の達成を目論むことになる。

 13時30分に発表されるRBAの政策金利は、4月理事会に続いて据え置き予想。豪1-3月期消費者物価指数(CPI)は、前年比で+7.0%だったが、10-12月期の+7.8%からは大幅に鈍化し、RBAが重要視するトリム平均値は前年比で+6.6%となり、前期+6.9%から減速していた。4月会合の議事要旨では「今後の理事会で、金融政策を引き締める必要がある可能性を明確にすることが重要」との見解が示されていたが、インフレ低下や金融システムの不安定により、引き締めとなる可能性は低下している。

(山下)
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