東京為替見通し=ドル円 米CPI総合の鈍化で上値重いか、豪ドルは豪雇用統計に注目

 12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は132.74円まで下落後に、133.40円付近まで切り返した。3月米消費者物価指数(CPI)総合が予想を下回ったものの、コア指数が予想通りだったことで一本調子の動きとはならなかった。ユーロドルは、ECB高官のタカ派発言や米インフレ指標を受けて1.1000ドルまで上昇した。ユーロ円は146.67円まで上値を伸ばした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、3月米CPI総合の伸び率鈍化を背景に、日足一目均衡表・雲の中(132.57円~134.79円)の中で上値が重い展開が予想される。

 3月米CPI総合は前年比+5.0%へ伸び率が鈍化したものの、コアCPIが前年比+5.6%へ加速していた。もっとも結果を受けても、米金融政策への織り込み度に大きな変化はなかった。CME「フェドウオッチ」では、5月2-3日FOMCで0.25%追加利上げ確率は65%程度。しかしながら、12月FOMCでは4.25-50%へ引き下げとの見方が今のところ有力であり、3月FOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)の5.00-25%との乖離がドル売り要因となっている。

 5月FOMCについては、ドット・プロットとフェドウオッチの予想ともにFF金利誘導目標の下限が5.00%としていることで、インフレ率とFF金利が5.0%付近で一致する可能性が高まった。また、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCE総合価格指数は、2月の数字であるものの前年比+5.0%に低下。すなわち、インフレ率と政策金利の差である実質FF金利がゼロの状態で、利上げサイクル終了となる可能性が高まりつつある。こちらもドルの上値を抑える要因となっている。

 さらに、米10年債利回りが同2年債利回りを下回り、3.9%台の2年債利回りもFF金利誘導目標を下回る「長短金利逆転(逆イールド)」の状態が続いている。これは2024年のリセッション(景気後退)入りの可能性を示唆している。

 10時30分に発表される3月豪雇用統計の予想は失業率が3.6%、新規雇用者数はが2万人増とどちらも前月からの悪化が見込まれている。4日の豪準備銀行(RBA)理事会では、金融引き締めから据え置きへと転じた。RBAは決定理由として「利上げの効果がまだ十分に現れていないことで、これまでの金利上昇の影響と経済見通しを評価するための追加的な時間を提供するため据え置いた」と表明した。3月雇用統計が予想通りだった場合は、労働市場の緩和により、5月2日RBA理事会での2会合連続据え置き観測が高まるのかもしれない。



(山下)
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