東京為替見通し=ドル円、米CPIに注目も上値重いか

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。米中堅銀行シリコンバレーバンク(SVB)に続き、地方銀行シグネチャー・バンクの経営破綻で金融システムリスクへの警戒が広がり、米長期金利の低下に伴い一時132.29円と約1カ月ぶりの安値を更新した。米銀2行の経営破綻を受けて米連邦準備理事会(FRB)が利上げ継続に慎重になるとの見方が強まり、欧米金利差が縮小したのも支えにユーロドルは一時1.0749ドルと約1カ月ぶりの高値を付けた。投資家のリスクオフ姿勢の高まりを背景にユーロ円は一時141.37円まで下押した。

 米SVBの経営破綻を背景に高まった金融システム不安に対し、FRBと米財務省が全預金者の資金を保証するための措置を打ち出し、新しい融資プログラムを設定するなど迅速な対応を見せたことで、金融市場はいったん落ち着きを取り戻す場面もあったが、市場の不安は解消されていない。米SVBに続き、シグネチャー・バンクも経営破綻となり、複数の銀行株が記録的な大幅安に見舞われ、取引停止が続出するなど、業界全体に混乱が広がっている。市場は米当局が銀行システムを支えるため介入しても、銀行破綻が増える可能性に神経質になっており、投資家のリスクオフ志向は根強く、ドル円は乱高下を伴いながら上値の重い動きが続きそうだ。

 本日は米2月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているが、市場の目線が銀行の経営破綻による金融システム不安へ向けられており、CPIの結果への反応は一時的にとどまる可能性がある。銀行破綻でFRBが利上げを続ける状況ではないとの見方も増えており、CPIの結果がどの程度FRBの金融政策見通しにつながるか見当がつかない。市場では3月のFOMCでFRBが金利の据え置きを決定するとの見方が3割超に増えた一方で、0.50%利上げ見込みはほぼなくなった。ゴールドマン・サックス・グループやナットウエスト・マーケッツなどもすでに金利の据え置きを予想している。東京タイムでは時間外の米長期金利の動向がドル円のポイントとなる。

(金)
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