東京為替見通し=ドル円、底堅い展開か 日米金融政策のかい離観測

 1日の外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.91%台まで低下した局面で135.26円まで下落。もっとも、同年債利回りが4.0082%まで上昇したことで136.32円付近まで反発した。ユーロドルは、独インフレ加速や長期金利の上昇を背景に1.0691ドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は底堅い展開か。日米の金融政策の乖離観測、すなわちFEDピボット(FRBの利下げ転換)観測とBOJピボット(日銀の利上げ転換)観測の後退がドル円の支えとなっている。

 テクニカルポイントでは、フィボナッチ・リトレースメント(151.95円-127.23円)の38.2%戻し(136.67円)は達成。ただし、140円台に向けた関門である200日移動平均線(※1日付け137.23円)の手前では伸び悩む展開ではある。

 ここからは来週のイベントを控え動きづらい展開となりつつある。7日にパウエルFRB議長の議会証言、10日の日銀金融政策決定会合の後の黒田日銀総裁の最後の記者会見、そして、米国2月の雇用統計が予定されている。

 ドル円のファンダメンタルズ分析での売り買い材料を確認しておきたい。
■ドル買い・円売り材料
・年末のターミナルレート(FRB利上げの最終到達点)5.25-5.50%との見通し
・植田次期日銀総裁候補が「現状の金融政策は適切」と発言
・9-10日の日銀金融政策決定会合では、3月期末決算を控えて現状維持との見方
・貿易赤字の拡大傾向

■ドル売り・円買い材料
・黒田総裁にとって最後の日銀会合でYCC許容変動幅拡大という一部観測
・3月期末決算に向けたレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)
・長短金利逆転(逆イールド)はリセッション(景気後退)入りを警告
・米国連邦債務上限引き上げの難航懸念

 なおドル円のテクニカル分析では、買いシグナルが優勢ではあるが、売り示唆のサインも見受けられる。
 ・90日移動平均線(※1日付け135.58円)が200日移動平均線(※1日付け137.23円)を下抜けるデッドクロスが出現していることは売りシグナルとなる。
 ・フィボナッチ・リトレースメント(151.95円-127.23円)では、38.2%戻し(136.67円)は達成したものの、50.0%戻し(139.59円)には到達していない。
 ・一目均衡表では、三役好転の買い時代となっているものの、「先行スパン1」が「先行スパン2」が下回っており、売りシグナルが点灯。2022年12月16日に「先行スパン1」が「先行スパン2」を下抜けた。その後、同月20日の日銀金融政策決定会合では、イールドカーブコントロール(YCC)許容変動幅が拡大され、ドル安・円高が進行した。


(山下)
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