株式明日の戦略-続伸も後場は失速、あすは月末で波乱含み

 29日の日経平均は続伸。終値は40円高の33234円。米国株はまちまちで終えたが、ナスダックの上昇や円安進行を好感して、寄り付きは3桁の上昇。強く始まったことでしばらくはじり高基調が続き、上げ幅を300円超に広げた。しかし、心理的節目の33500円を超えた後は上値が重くなり、11時過ぎ辺りからは急失速。後場のスタート直後には上げ幅を一桁に縮めた。そこではいったん盛り返し、再び上げ幅を3桁に広げた。これで落ち着きを取り戻すかと思われたが、14時過ぎ辺りから値を消すと、終盤にはマイナス転換。下げたところではすぐに切り返して小幅にプラスは確保したものの、安値圏で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆8000億円。業種別では銀行、精密機器、電気機器などが上昇している一方、パルプ・紙、食料品、海運などが下落している。証券会社が投資判断を引き上げた日清紡ホールディングス<3105.T>が大幅上昇。半面、一部メディアで不適切営業が指摘されたオープンハウスグループ<3288.T>が、後場に入って大きく値を崩した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり762/値下がり990。アドバンテスト、東京エレクトロン、レーザーテック、ソシオネクストなど主力の半導体株が大幅上昇。米国で大手金融機関がストレステストの基準をクリアしたことが安心材料となり、メガバンクの三菱UFJや三井住友に買いが入った。円安進行を受けて、日産自、三菱自、SUBARUなど自動車株が大幅上昇。三菱自に関しては日経新聞1面でヤマダHDとの協業が報じられたことも好感された。下値模索が続いていた楽天Gが5.2%高と目を見張る上昇。株主優待の変更・電子化が評価されたバルニバービが急伸した。

 半面、最低売買代金が大幅に引き下げられたNTTが、前の日に大幅高となっていた反動もあって大幅安。出来高は全市場で断トツのトップとなった。3営業日ぶりに取引時間中に値がついたそーせいGが26.5%安。大きく水準を切り下げて始まった後も売りに押された。ノイルミューン、シーユーシー、プロディライトなど直近上場銘柄の多くが急落。1Q大幅営業増益もサプライズに乏しいと受け止められたJフロントが3%を超える下落となり、三越伊勢丹や高島屋など百貨店株に警戒売りが波及した。

 本日グロースに新規上場したW TOKYOは、高い初値をつけたものの、終値は初値を大きく下回った。同社に出資しているDLEは、事前に期待で買われていたこともあり、きょうは材料出尽くしで急落した。

 日経平均は続伸したが、引け味はイマイチ。とは言え、28日の米国株はまちまちで買いづらさもあった中、場中には強く買われて33500円台に乗せた。きのうの大幅高が投資家のセンチメントを大きく改善させたことは疑いようがない。プラスで終えたことにより、終値(33234円)では5日線(32889円、29日時点)を大きく上回っている。

 あす30日は月内最終日と重なる金曜日。5月最終日は440円安(30887円)と大幅安となっており、後場に入って下げ幅を広げた。今週は水・木と後場の値動きが大きくなっており、あすも値幅が出るとみておいた方が良い。32781.54円を上回って終えれば週間上昇を達成し、32647.08円を上回って終えれば週足が陽線となる。また、終値で33706.08円(6/16)を上回れば年初来高値を更新する。今週、ここまでは良い流れとなっていることから、大崩れすることなく6月を締めくくることができるかに注目したい。
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