NYマーケットダイジェスト・27日 株安・金利上昇・円高・ユーロ安

(27日終値)
ドル・円相場:1ドル=139.48円(前営業日比▲0.76円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=153.12円(▲2.36円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0979ドル(▲0.0107ドル)
ダウ工業株30種平均:35282.72ドル(▲237.40ドル)
ナスダック総合株価指数:14050.11(▲77.17)
10年物米国債利回り:4.00%(△0.13%)
WTI原油先物9月限:1バレル=80.09ドル(△1.31ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=1945.7ドル(▲24.4ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は4日続落。4-6月期米国内総生産(GDP)速報値や前週分の米新規失業保険申請件数、6月米耐久財受注額、6月米住宅販売保留指数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想を上回ったことが分かると、米景気の底堅さを意識したドル買いが先行。米10年債利回りが4.02%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、24時前に一時141.32円と日通し高値を更新した。
 ただ、日経新聞電子版が「日銀は28日まで開く金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正案を議論」「長期金利の操作の上限は0.5%のまま据え置くものの、市場動向に応じて0.5%を一定程度超えることも容認する案が浮上」と報じると一転下落した。日本の長期金利がYCCの上限となっている0.5%より上昇し、日米の金利差が縮小するとの観測から円買い・ドル売りが進んだ。アジア時間の安値139.38円を下抜けて一時138.77円まで値を下げた。
 なお、ナイト・セッションの日経平均先物は3万3220円の本日高値から810円急落し3万2410円を付ける場面があった。

・ユーロドルは反落。欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、市場予想通り0.25%の利上げを決めたと発表。声明では「金利はインフレ率を2%の中期目標に適時に戻すために必要な限り、十分に制限的な水準に設定されることになる」と表明し、「金利を十分に景気抑制的な水準にすることを確実にする」とした前回と異なり、次回会合での追加利上げを示唆しなかった。また、ラガルドECB総裁は理事会後の会見で、9月以降の金融政策方針について「金利据え置きもあり得る」と述べ、データ次第の姿勢を強調。ECBの明確な利上げ継続方針が示されなかったことから、全般ユーロ売りが優勢となった。
 さらに、良好な米経済指標が相次いだことで米金利が上昇すると、ドルを買う動きも強まり一時1.0966ドルと10日以来の安値を付けた。

・ユーロ円は大幅に4日続落。ECBの利上げ継続観測が後退する中、全般ユーロ売りが先行。日本時間28日2時に「日銀がYCC修正議論」と報じられると円買いが活発化し、一時152.19円と6月15日以来の安値を更新した。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は14日ぶりに反落。メタが前日に発表した増益決算や堅調な米経済指標を受けて買いが先行すると一時120ドル超上昇したものの、高値警戒感から利食い売りなどが出ると下げに転じた。ダウは前日までに13連騰していただけに、上値警戒感が浮上していた。米長期金利が大幅に上昇したことで、株式の相対的な割高感が意識された面もあった。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。

・米国債券相場で長期ゾーンは大幅反落。4-6月期米GDP速報値など、この日発表の米経済指標が軒並み予想を上回ったことを受けて債券売りが広がった。「日銀がYCC修正議論」との報道も意識されて、利回りは一時4.0222%前後と10日以来の高水準を付けた。

・原油先物相場は反発。4-6月期米GDP速報値や6月米耐久財受注額など軒並み強い結果となった経済指標が米景気の先行きに対する明るい見方につながりエネルギー需要を支援するとの連想を誘った。石油輸出国機構(OPEC)や他の主要産油国で構成するOPECプラスの減産や露・ウクライナ情勢を受けた供給体制への不安も下支えとなっている。

・金先物相場は3日ぶりに大幅反落。ECB追加利上げ観測後退を受け下落したユーロなど主要通貨に対してドル高が先行したことや、強い経済指標を反映した米金利上昇が重しとなった。ドル高がドル換算の金相場を押し下げ、ドルの代替資産とみなされることもある金の相対的な価値下落にもつながった。米金利上昇は金利がつかない資産である金への投資妙味低下を意識させた。

(中村)
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