NY為替見通し=円は方向感がない、ドルは米インフレ指標で素直に上下か

 本日のドル円は、引き続き乱高下が予想される。日銀が「10年物国債金利について1.0%の利回りでの指値オペを行う」方針が示されたことで、東京時間から円が大きな値幅で上下している。植田日銀総裁の会見では「長期金利の形成を市場に委ねるか」との質問に「程度の問題はあるがイエス」と応えると円買いを促す場面もあったが、「YCCの修正は政策正常化に踏み出す動きではない」「短期金利引き上げにはまだ大分距離がある」と応え円安に動く場面もあった。日本人特有の玉虫色の回答であり、海外勢からは捉え方が非常に難しい状況で、NY勢が円買い・円売りのどちらで反応するのかは未知数だ。

 円の動きが難しい中で、ドルは米経済指標に素直に反応することになるか。本日注目されるのが、まずは米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している6月米個人消費支出(PCE)デフレーター。市場予想では5月の+3.8%からさらに低下し+3.0%予想となっている。また、コアデフレーターも+4.6%から+4.2%へ低下予想。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は先日の記者会見で、「将来の利上げについてはデータを重視したアプローチをとる」としているが、市場予想通りにインフレが低下傾向であればドルは重くなるだろう。一方で、昨日は4-6月期米国内総生産(GDP)速報値など経済指標が予想を上回ったが、連日強い経済指標が発表された場合は、上昇傾向の米債利回りがさらに上げ幅を広げ、ドルが強含むだろう。

 また、PCEだけでなく日本時間23時に発表予定のミシガン大調査による7月米消費者態度指数・確報値の1年・5年先期待インフレ率に修正が入るかにも目を通したい。速報値ではそれぞれ3.4%、3.1%となり前月を上回っている。修正が入った場合には米金利も連れた動きを見せることになりそうだ。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、これまでの日通し高値141.07円から昨日の高値141.32円が抵抗帯。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、これまでの日通した安値138.07円から17日安値138.00円が支持帯。

(松井)
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