ロンドン為替見通し=複数の政策金利発表、乱高下した場合もドル高の流れは変わらずか

 本日はアジア時間からすでに、ユーロドルは3月以来、ポンドドルが5月以来の安値水準まで下がるなど、前日NYの流れを引き継いで欧州通貨安・ドル高が進行した。欧州入り後は若干の調整で買い戻しが入る可能性もあるが、基本的な方向性は変わらないと予想する。
 
 多くの通貨ペアが値幅を伴った動きを見せているが、欧州時間でも「スイス、スウェーデン、ノルウェー、英国、トルコ、南ア」と複数の中央銀行が政策金利を発表することで、さらにボラタイルな動きをみせる可能性が高い。

 すでに先週理事会を終了した欧州中央銀行(ECB)の要人発言は、このところハト派寄りが目立つ。19日にはビルロワドガロー仏中銀総裁が「ECBは金利を必要な限り長く4%に維持する」、昨日はマクルーフ・アイルランド中銀総裁が「利下げはもうそこまで来ている」「次回の会合で利上げを実施するとは言っていないが、我々は頂上付近にいる」とも発言した。

 本日はシュナーベルECB専務理事が講演予定。同氏は先月、金利のピークがどこになるのかを予測することはできないと述べつつ、「経済活動は目に見えて緩やかになっている」と指摘していた。本日の講演でも、タカ派寄りの発言を期待するのは難しいだろう。

 また、昨日はドイツ銀行のゼービング最高経営責任者(CEO)が、ドイツには「構造的な弱点があり、この問題を解決しないと(ドイツが)欧州の病人になってしまう」との見解を示した。欧州金融トップが自国経済の懸念を表明するなど、欧州が深刻な危機に陥るリスクが潜在的にあることもユーロの重しだ。

 ユーロよりも動意付く可能性が高いのがポンドだろう。本日、日本時間20時にイングランド銀行(BOE)が金融政策委員会(MPC)の結果を公表予定。昨日のMPC最終会議の前に発表された8月の英消費者物価指数(CPI)が市場予想より大幅に下振れした(前月比+0.3%/予想+0.7%、前年比+6.7%/予想+7.0%)ため、市場参加者を悩ませている。

 もともとBOE政策については、9月は0.25%引き上げ、ただこれが利上げ最終章になるとの見方が高まっていた。利上げ停止観測は、英GDPなどの経済指標が弱かったためだ。それが足もとのインフレ率が減速していたことで、今回も据え置きを予想する声も出てきた。利上げ決定はサプライズではないものの、同時に明らかにされる議事要旨次第でポンドは大きく動くだろう。特にここ最近はポンドネガティブ材料に敏感なこともあり、ハト派声明への反応が大きくなりそうだ。


・想定レンジ上限
 ユーロドル:昨日欧州時間での安値1.0673ドル付近が最初の抑え、その上は昨日20日高値1.0737ドル。
 ポンドドル:昨日FOMC後の高値1.2396ドルや大台1.2400ドルが最初の抑え。その上は、昨日の欧州引け後の反発局面でも超えられなかった200日移動平均線1.2434ドルから日足一目均衡表・転換線1.2440ドルが抵抗帯

・想定レンジ下限
 ユーロドル:3月16日安値1.0551ドル。
 ポンドドル:3月24日安値1.2191ドル

(松井)
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