東京為替見通し=ドル円は日銀の指し値オペに要警戒、豪ドルはRBA政策金利に要注目

 31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、日銀の臨時国債買い入れオペ実施を受けた円売りの流れが続き、142.68円まで上昇した後、7月米シカゴ購買部協会景気指数が予想を下回ったことで142.01円付近まで反落した。ユーロドルは、欧州時間発表の7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)コア速報値や4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)速報値が予想より強い内容だったことで、1.1046ドルまで上昇後、月末のロンドンフィキシングに絡んだユーロ売りで1.0994ドルまで反落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、10時10分の指し値オペを確認した後は、日・米の10年債利回りの動向に連れた値動きが予想される。

 昨日は、日銀が10年債の対象銘柄を利回り0.5%で無制限に買い入れる指し値オペに加えて、残存期間5-10年対象の臨時オペをオファーしたことが「サプライズ」となり、日本国債10年物利回りは0.60%台を維持できず、ドル円は140円台後半からニューヨーク市場の高値142.68円まで上昇した。
 本日は、引き続き10時10分の指し値オペの動向を見極めつつ、日・米の10年債利回りの動向に連れた値動きが予想される。

 しかしながら、市場の関心は、本日発表の7月米ISM製造業景気指数、3日発表の7月米ISM非製造業指数、4日発表の7月米雇用統計など、米国の重要経済指標に向かっており、米10年債利回りも3.9%台で伸び悩んでいることで、ドル円の上値は限定的だと思われる。
 今週のドル円は、米7月雇用統計が堅調な労働市場を示唆した場合、6月30日の高値145.07円を目指す展開が予想される。しかし、145円以上のドル円に対しては、神田財務官がボラティリティー抑制を名目にしたドル売り・円買い介入に踏み切る可能性があること、植田日銀総裁もイールドカーブコントロール(YCC)の柔軟化に為替市場のボラティリティー抑制を挙げていたことで、本邦通貨当局による円安阻止の姿勢を見極めることになるのかもしれない。

 豪ドルは、13時30分に発表される豪準備銀行(RBA)理事会の政策金利に要注目か。
 前回のRBA理事会の議事要旨では「8月理事会で改めて追加利上げの必要性を協議する方針」と言及されており、0.25%の利上げ(4.10%⇒4.35%)が見込まれている。しかし、4-6月期の四半期消費者物価指数(CPI)は前年同期比+6.0%と市場予想を下回り、前期の同比+7.0%からのインフレ鈍化傾向も確認された。6月CPIは前年比+5.4%となり、依然としてインフレ目標(2-3%)を上回っているものの、5月の同比+5.6%や四半期金融政策報告内の見通し(6月時点で6.25%)は下回っている。
 リスクシナリオは、インフレ鈍化を受けて政策金利が据え置かれた場合となり、声明文も含めてインフレ警戒姿勢の変化に要注目となる。



(山下)
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