東京為替見通し=ドル円、動きづらい展開か 本日から明日の日銀会合を見据えて

 26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は139.93円まで下落した。米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通り0.25%の利上げが決定されたものの、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言で米金融引き締め長期化観測が後退し、米金利が低下した。ユーロドルは米金利の低下とともに1.1107ドルまで上昇した。ユーロ円は155.15円まで続落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合の結果待ちで、動きづらい展開が予想される。

 ドル円は FOMCで金融引き締め継続にも関わらず一時139.93円まで売られた。市場は日銀会合での大規模金融緩和の継続を予想しながら、140円台で待機することになる。

 FOMCでは全会一致で第11次利上げ(+0.25%)が決定され、FF金利誘導目標が5.25-50%まで引き上げられた。パウエルFRB議長は「データ次第で9月利上げがある可能性」に言及しつつも「利上げの可能性も、利上げなしの可能性もある」と述べたことで、米国債利回りが低下。為替相場では、ドル全面安の展開となっている。

 今回の日銀会合では現状維持が予想されている。見通しの背景には、今月18日の植田日銀総裁の発言「持続的、安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」や21日の記者レク記事「日銀、金融政策維持の公算 YCC変動幅据え置きの可能性、YCC副作用に対応の緊急性乏しい」などがある。

 FRBが予想通りに利上げを決定した後、日銀が予想通りに現状維持を決定するのならば、ドル円は上昇トレンドを続けるはずだ。しかし現状は、21日の記者レク記事を受けた高値141.96円からパウエルFRB議長発言を受けた安値139.93円まで下落しており、21日の安値139.75円に迫っている。

 市場は、FOMC声明やパウエル議長の発言の中に、利上げサイクルの終了の可能性を見出した模様だ。日銀決定会合や植田総裁の発言に対しても、同様の穿った見立ての可能性があることで、予断を許さない状況が続くのかもしれない。

 昨年9月を振り返ると、21日にFOMCで0.75%の利上げが決定されFF金利誘導目標が3.00-25%に引き上げられ、ドル円は144.70円まで上昇した。22日の日銀会合で大規模金融緩和策の継続が決定され、15時半からの会見で、黒田日銀総裁(当時)が「当面金利を引き上げることはない」と述べたことで、145.90円まで続伸した。そして、17時半過ぎに、本邦通貨当局による過去最大規模のドル売り・円買い介入が断行されている。

(山下)
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