東京為替見通し=ドル円、植田日銀総裁の就任会見に要注目か
7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、3月米失業率が3.5%と予想の3.6%を下回り、過去最低付近に低下したことで、132.38円まで上昇した。米国の景気に対する過度な懸念が緩和し、米連邦準備理事会(FRB)による次回会合での利上げ観測が高まり、米10年債利回りは3.4093%前後まで上昇した。ユーロドルは米3月雇用統計を受けて1.0877ドルまで下落後、欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続を意識したユーロ買いで、1.09ドル台前半まで下げ渋った。
本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁の就任会見に注目することになる。
米3月の非農業部門雇用者数(前月比+23.6万人)や失業率(3.5%)を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」による5月2-3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の追加利上げ確率が67%程度まで上昇している。しかしながら、12月12-13日のFOMCでは4.25-50%へ引き下げられる確率が高くなっており、3月FOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)の5.00-25%とは0.75%の乖離となっていることには、留意しておきたい。
米国の非農業部門雇用者数の月次平均は、2022年の+39.9万人から今年は+34.5万人へ低下傾向にある。バイデン米大統領は昨年5月の「インフレ退治」という米紙への寄稿文で、「月次の就業者増が15万人程度に移行すれば、低失業率と健全な経済の観点から経済回復が成功するサインになるだろう」と明言していた。現状のインフレ鈍化と低失業率は、2024年の米大統領選に向けて望ましいのかもしれない。
本日予定されている植田日銀総裁の就任会見では、27-28日の日銀金融政策決定会合に向けての金融政策正常化に関する見解を注目することになる。
春闘での大幅な賃上げの可能性が高まりつつあることを受けて、日銀金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(YCC)の上限引き上げ、あるいは撤廃の可能性が警戒されつつあることで、マイナス金利やYCCへの言及に要注目となる。
2月のコア消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、政府の経済対策で電気・ガス料金が押し下げられたことで前年比+3.1%まで伸び率が鈍化していたが、市場の関心はコアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く)に移っている。2月の全国コアコアCPIは、前年比+3.5%となり、1982年1月以来の伸び率を記録していた。
2022年10-12月実質国内総生産(GDP)改定値は前期比±0.0%に下方修正されており、日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差である「需給ギャップ」は、11期連続のマイナス0.43%となり、「デフレギャップ」の状態が続いている。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁の就任会見に注目することになる。
米3月の非農業部門雇用者数(前月比+23.6万人)や失業率(3.5%)を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」による5月2-3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の追加利上げ確率が67%程度まで上昇している。しかしながら、12月12-13日のFOMCでは4.25-50%へ引き下げられる確率が高くなっており、3月FOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)の5.00-25%とは0.75%の乖離となっていることには、留意しておきたい。
米国の非農業部門雇用者数の月次平均は、2022年の+39.9万人から今年は+34.5万人へ低下傾向にある。バイデン米大統領は昨年5月の「インフレ退治」という米紙への寄稿文で、「月次の就業者増が15万人程度に移行すれば、低失業率と健全な経済の観点から経済回復が成功するサインになるだろう」と明言していた。現状のインフレ鈍化と低失業率は、2024年の米大統領選に向けて望ましいのかもしれない。
本日予定されている植田日銀総裁の就任会見では、27-28日の日銀金融政策決定会合に向けての金融政策正常化に関する見解を注目することになる。
春闘での大幅な賃上げの可能性が高まりつつあることを受けて、日銀金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(YCC)の上限引き上げ、あるいは撤廃の可能性が警戒されつつあることで、マイナス金利やYCCへの言及に要注目となる。
2月のコア消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、政府の経済対策で電気・ガス料金が押し下げられたことで前年比+3.1%まで伸び率が鈍化していたが、市場の関心はコアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く)に移っている。2月の全国コアコアCPIは、前年比+3.5%となり、1982年1月以来の伸び率を記録していた。
2022年10-12月実質国内総生産(GDP)改定値は前期比±0.0%に下方修正されており、日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差である「需給ギャップ」は、11期連続のマイナス0.43%となり、「デフレギャップ」の状態が続いている。
(山下)