東京為替見通し=ドル円、FRBの利上げ継続と日銀の緩和継続観測から堅調推移か

 14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、1月米消費者物価指数(CPI)が総合・コアともに前年比で予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が意識されたことで、131.52円へ下落後133.32円まで上昇した。ユーロドルは米10年債利回りが一時3.7952%前後まで上昇したことで、1.0707ドルまで下落。一時1.0803ドルまで反発する場面もあったが、1.07ドル前半まで戻して引けた。ユーロ円は142.95円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米1月CPIを受けたFRBの利上げ継続観測と日銀による金融緩和路線の継続観測から堅調推移が予想される。

 米1月CPIは前月比+0.5%で予想通りだったが、前年比は+6.4%で予想の+6.2%を上回った。WSJ紙「FEDウォッチャー」のニック・ティミラオス記者がツイートで警告していたように、「季節性残差(residual seasonality )」という統計的要因や新たな加重方法などで大幅に上振れることはなかった。しかし、予想を大幅に上回った1月の雇用統計や堅調な個人消費などと併せて、FRBの昨年からの4.50-75%までの断続的な利上げにもかかわらず、物価上昇圧力が緩和されていないことが示唆された。米国1月の雇用統計とCPIは、追加利上げと金利を当面高く維持する必要性を強調した米連邦公開市場委員会(FOMC)声明やパウエルFRB議長の見解を裏付けており、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が5.10%以上になる可能性を高めている。ウィリアムズ米NY連銀総裁は、「現在のインフレ率は依然として高すぎる。年末のFF金利の見通しは5.0%から5.5%の間」と述べている。

 また、バイデン米大統領は、ブレイナードFRB副議長をホワイトハウスの国家経済委員会(NEC)委員長に指名した。ブレイナードFRB副議長はNEC委員長として、イエレン米財務長官と共に、2024年の米大統領選挙に向けて経済政策運営で重責を担うことになる。当面の課題はインフレ抑制法(IRA)によるインフレの撲滅となることで、FRBに対してもインフレ抑制の圧力をかけ続けることになる。

 ドル円、ユーロドル、ポンドドルのテクニカル分析では、米国のインフレ鈍化傾向やパウエルFRB議長の「ディスインフレ」への言及を反映した「半値戻し(押し)」までの調整を終えて、ドル高トレンドへの回帰が示唆されている。
 ドル円は102.59円から151.95円までの上昇幅の半値押し127.27円付近で下げ止まり、ユーロドルは1.2349ドルから0.9536ドルまでの下落幅の半値戻し1.0943ドル付近で上げ止まり、ポンドドルも1.4248ドルから1.0350ドルまでの下落幅の半値戻し付近で上げ止まっている。すなわち、ドルの反落は調整局面に過ぎず、「半値戻し(押し)は全値戻し(押し)」の格言通りに、ドルの復活劇が示唆されている。


(山下)
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