東京為替見通し=ドル円、日銀会合・黒田総裁の会見に注目

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発した。ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローも観測され、137.16円まで高値を更新した。原油先物価格が下落し、資源国通貨売りが進んだ影響も受けてユーロドルは1.0576ドルまで下落した。ユーロ円はドル円の買い戻しにつられ145.49円まで上昇した。

 本日は主要国中銀のなかで今年最後となる日銀の金融政策決定会合の結果公表を控えている。日銀は今回の会合でも世界景気の鈍化懸念が根強いことや個人消費の回復は遅れていることから、金融政策面で景気回復を支援するために現行の大規模な金融緩和策を継続することが見込まれる。ただ、一部で政府・日銀の共同声明が見直されるとの報道もあるなか、物価目標の柔軟化を検討するとの思惑も浮上している。金融政策の現状維持が見込まれているものの、最近は日銀審議委員によるタカ派寄りの発言も聞こえており、黒田日銀総裁の会見も注目されている。今月の13日には「日銀が来年4月に発足する新体制下で金融政策の点検や検証を同年中に実施する可能性がある」とのヘッドラインでドル売り・円買いが進んだように、日銀が近い将来に金融政策を調整するとの期待は根強く、ドル円の下方向への警戒感が高まっている。

 次期日銀総裁の有力候補の一人とみられている中曽宏・前日銀副総裁(大和総研理事長)は昨日の講演で、日本はほかの主要国にくらべコロナ禍からの回復が遅れていることもあり、現時点では引き締め方向のアクションは取りにくいとの見解を示した。また、次期日銀総裁のもう一人有力候補の山口元日銀副総裁は、一部で改定方針が報じられた政府・日銀の共同声明について、「現時点で2%物価目標を変える必然性はない」と修正に否定的な見解を示した。来年は賃上げも進み、日本でも高インフレが継続する可能性があると指摘し、インフレ予想の過度の高まりを未然に防ぐために日銀はイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の修正を検討する可能性があると述べた。

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