東京為替見通し=ドル円、今夜発表の米11月CPIへの警戒感から底堅い展開か

 12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りの上昇やロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローなどで137.85円まで上昇した。ユーロドルは、ロンドン・フィキシングに絡んだドル買いで1.0580ドルから1.0511ドル付近まで反落した。ユーロ円は145.10円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の判断材料となる米11月消費者物価指数(CPI)への警戒感から底堅い展開が予想される。
 米11月CPIは、前月比+0.3%、前年比+7.3%と予想されており、10月の前月比+0.4%、前年比+7.7%からの伸び率鈍化が見込まれている。先週末に発表された11月の卸売物価指数(PPI)は、前年比+7.4%となり、10月の前年比+8.0%からは伸び率は鈍化し、過去18カ月で最も低い伸びに留まった。そして、米ミシガン大学が発表した1年先のインフレ期待は4.6%と前月の4.9%から低下して、15カ月ぶりの低水準を記録した。ニューヨーク連銀調査の11月の米家計の1年後のインフレ期待は5.2%と、21年8月以来の低水準となった。
 しかし、クリーブランド連銀の「インフレ・ナウ」によると、10月のインフレ率伸び率鈍化という「逆CPIショック」を打ち消す「CPIショック」の可能性も警戒されている。すなわち、10月CPIでは家賃が減速していたが、11月は小幅な反動が警戒されている。
 今年のFOMCでの利上げ幅を全て適中させてきたウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、FOMCでは0.5%の利上げを行い、ドットチャートでのターミナルレート中央値が9月の4.6%から一気に5.00%台まで引き上げられる、FRBは市場参加者のコンセンサスより高い位置に来年FFレートを持ってゆくことを暫定的にシグナルしたい、と述べている。

 FOMCのメインシナリオは、FF金利誘導目標は+0.50%の第7次利上げにより、4.25-50%に引き上げられ、来年前半の2会合で0.25%の利上げが行われ、4.75-5.00%のターミナルレート(利上げの最終到達点)に到達する、というものである。すなわち、FOMCメンバーの2023年の予測中央値のピークは、9月の4.6%から、パウエルFRB議長が示唆したように、4.9%程度(FF金利誘導目標4.75-5.00%)まで引き上げられることになる。
 リスクシナリオは、本日発表される米11月CPIショックにより、0.75%の利上げとなる可能性、そして、ターミナルレートが5.00-50%程度まで引き上げられる可能性、さらに、来年末まで高金利が維持されるというドット・プロット(金利予測分布図)となる。
 金融先物市場の見立ては、ターミナルレートが4.96%付近まで上昇し、その後の2回程度の利下げを示唆している。
 しかし、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した12月6日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組では、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する売り越し額が22億3000万ドルとなり、21年7月以来の売り越し水準となっている。投機筋がハト派的なFOMC声明に賭けていることが窺えるため、タカ派的だった場合の波乱に要警戒となる。


(山下)
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