東京為替見通し=ドル円、米10年債利回り低下で軟調推移もNY休場で下値は限定的か

 23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、低調な米国経済指標や、ややハト派的な11月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて、10年債利回りが3.68%台まで低下したことで139.17円まで下落した。ユーロドルは1.0405ドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下を受けて軟調推移が予想されるものの、本日のニューヨーク市場が休場(感謝祭)で明日もブラックフライデーで半日取引となることで、下値は限定的だと思われる。

 昨日発表された11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、現在カタールで開催中のFIFAワールドカップで、アルゼンチンがサウジアラビアに敗北したこともあり、「金利のマラドーナ理論(Maradona theory)」を彷彿とさせる内容だった。
 2005年、キング元英中銀総裁は、「偉大なアルゼンチンのサッカー選手マラドーナが、1986年6月のワールドカップ・イングランド戦で見せた2度目のゴールは、金利の現代理論における“期待の力”を示唆したものだった」と述べた。
 マラドーナは、5人の英国ディフェンダーが彼の左右の動きを勝手に予想していたために、60ヤードを直線的に独走してゴールを決めることができた。キング総裁は「金融政策も同様に機能する。市場金利は中央銀行が何をするかという予想に反応する」と述べ、それを「金利のマラドーナ理論」と命名した。

 パウエルFRB議長は、11月のFOMC後の会見で、ハト派的な利上げペースの減速とタカ派的な高めのターミナルレート(利上げの最終到達点)を示唆した。11月FOMC議事要旨でも、利上げペース鈍化と高めのターミナルレートが示唆されていた。パウエルFRB議長が示唆した12月のFOMCでの0.50%の利上げ、その後の0.25-50%程度の利上げとペースの減速、そしてターミナルレート5.00-50%が示唆され、タカ派やハト派のFRB高官の発言が、市場の利上げへの思惑を上下に翻弄している。

 今後のFOMCでの利上げ見通しは以下の通りとなる。
・第7次 2022年12月14日:4.25-4.50% (+0.50%引き上げと仮定)
・第8次 2023年2月1日:4.50-75% (+0.25%引き上げと仮定)
・第9次 2023年3月22日:4.75-5.00% (+0.25%引き上げと仮定)
・第10次 2023年5月3日:5.00-25% (+0.25%引き上げと仮定)
・第11次 2023年6月14日:5.25-50% (+0.25%引き上げと仮定)

 ドル円のエリオット波動でのテクニカル分析は、おそらく第3上昇波動の中の調整局面である第(4)調整波動を形成中だと思われる。しかし、米10年債利回りは、10月21日の4.335%を頭とするヘッド・アンド・ショルダーを形成中と見なすことができることで、注視していきたい。


(山下)
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