東京為替見通し=ドル円、米10年債利回りやNYダウの上昇を背景に底堅い展開か

 19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、137.38円まで下落後、米10年債利回りが3.03%台まで上昇したことで138.25円付近まで上昇した。ユーロドルは、欧州市場で「ノルドストリーム1」経由のロシア産ガスの供給が21日に再開される見通しと報道や21日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会で0.50%利上げ期待が高まっていることなどで1.0269ドルまで上昇した後、米10年債利回りの上昇を受けて伸び悩む展開となった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りやニューヨーク株の上昇を受けて底堅い展開が予想されるものの、26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅が0.75%の可能性が高まっていることで上値は限定的だと予想される。

 本日から明日にかけて日銀金融政策決定会合が開催され、明日は欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。「展望レポート」では、今年の成長見通しを下方修正する一方、物価見通しは上方修正されるとの報道があるものの、金融政策の調整は検討されないとみられる。英与党・保守党党首選を戦っているトラス英外相が、高インフレの責任は英中銀にあると批判し、次期政権はインフレ抑制に成功している他国に目を向けるべきだと主張、日本銀行を良い例に挙げたことで、英国のエコノミストから嘲笑された、と報じられている。

 日本銀行と欧州中央銀行(ECB)は、7月末にロシアからの天然ガス供給が途絶えるかもしれない可能性が高まる中での金融政策決定会合となることで、要警戒となっている。

 日本に関しては、「サハリン2」に対して権益を求める会社は、1カ月以内にロシアに再申請を行うようにとのことであり、7月30日が期限となっている。ロシアのメドベージェフ前大統領は、ロシア産石油価格上限が現在の価格の約半分になるとの見通しに触れた日本からの報道に対して、実行されれば市場に出回る原油が大幅に減り、価格が1バレル=300-400ドル超に上昇する可能性があると指摘している。

 欧州に関しては、ロシアの国営天然ガス企業ガスプロムが「ノルドストリーム」を通じた欧州へのガス輸出を21日に再開する見通しと報じられているものの、プーチン露大統領が定期点検の延長を示唆との報道もあることで、予断を許さない状況が続くことになる。

 ガスプロムは、先日、欧州の買い手数社に対し「不可抗力条項」を宣言して、ガス供給を保証することができないと伝えたことで、天然ガス供給が遮断される可能性は払拭されていない。

 現時点での主要国の政策金利とインフレ率は以下の通りとなっている。
         【政策金利】【次回利上げ予想】 【インフレ率】(▲:マイナス)
・米連邦準備理事会:1.50-75% (+0.75%・+1.00%)  +9.1%(6月)
・欧州中央銀行:  ▲0.50% (+0.25%・+0.50%)   +8.6%(6月)
・イングランド銀行:1.25%  (+0.50%)   +9.1%(5月)
・カナダ銀行:   2.50%  (+0.50%)   +7.7%(5月)
・NZ準備銀行:    2.50%  (+0.50%)   +7.3%(第2四半期)
・豪準備銀行:   1.35%  (+0.50%)   +5.1%(第1四半期)
・日本銀行:    ▲0.10% (据え置き)  +2.1%(5月)


(山下)
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