東京為替見通し=ドル円、日銀会合の決定次第で乱高下の可能性

 17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は127.99円まで下落した。「国債費の増加を受けて、財務省は利払い費の見積もりに使う10年債の想定金利を1.6%に引き上げた」との報道を受けて、日銀金融政策決定会合での金融政策修正への思惑が高まった。ユーロドルは「ECB当局者は利上げペースの減速を検討し始めている」との観測報道を受けて、1.0869ドルから1.0775ドルまで下落した。ユーロ円も138.20円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、「噂・憶測で仕掛けて、事実で手仕舞え」という相場格言を念頭に置きながら、日銀金融政策決定会合での決定を見極めることになる。

 昨日のドル・円・翌日物インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)は、18日の相場が1ドル=125.12円-132.29円のレンジで動く確率が70%となった。すなわち、変更がなかった場合は、132円台へ上昇し、政策変更の内容次第で、125円台まで下落する可能性が示唆されている。

 昨日は、「国債の元利払いに充てる国債費の増加を受けて、財務省は足元の長期金利を加味し利払い費の見積もりに使う10年債の想定金利を1.6%に引き上げた」との報道が伝えられており、日銀会合での金融政策修正への思惑が高まっている。

 本日の日銀金融政策決定会合での注目ポイントは以下の通り。
1)金融緩和策に変更がない場合
 次期日銀総裁と副総裁の人選が決定された後に政策変更が行われる、との見立てが正しかったことになり、政策変更は3月9-10日まで先送り。ドル円は130円割れのショート・ポジションの買い戻しとなり、130~132円台まで上昇の可能性。
2)経済・物価情勢の展望(展望リポート)で物価見通し引き上げ
 新聞報道通りだが、ショートカバーは限定的か。
3)YCCの許容変動幅が±0.75%まで拡大された場合
 現状、YCC上限の0.50%を上抜けており織り込み済みだが、次回での±1.00%拡大を見越して追撃売りか。
4)YCCの許容変動幅が±1.00%まで拡大された場合
 YCC撤廃を見越して追撃売りか。
5)YCCが撤廃された場合
 追撃売りだが、125-126円付近では、材料出尽くしで利食いの買い戻しの可能性。
6)マイナス金利がゼロ金利に引き上げられた場合
 125円を割り込む可能性が高まる。
7)長短金利操作(YCC)からスワップ市場操作(OIS)へ移行示唆の場合
 新体制の下でのスワップ市場操作の手段が不明なことから、とりあえず利食いの買い戻しの可能性。

 今後の日銀に関する予定は以下の通り。
・2月10日頃:日銀の正副総裁人事が国会に提示される見通し
・3月9-10:現体制での最後の日銀金融政策決定会合
・3月19日:雨宮副総裁と若田部副総裁が任期満了
・4月8日:黒田総裁が任期満了
・4月27-28日:新体制での最初の日銀金融政策決定会合

(山下)
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